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打倒!おはらい戦隊 EXシスターズ part.1

「まいったことになったな。どうしたらいいんだこりゃ……」

 ここは『おはらい戦隊』の本拠地である。ファウはここに監禁されてしまったのだ。

 


 おはらい戦隊とは、今魔界で騒がれているエクソシストの集団である。

 つまるところ悪魔祓いを生業としている人たちの集まりなのだが、これが厄介なことに魔界に紛れ込み居ついてしまったのである。

 


 もともと天界からやってきた天使らしい。しかし、元々悪魔なんかいやしない天界で悪魔祓いをやっても流行るわけがない。

 

 そういう訳で名声や実績を得るために魔界へとやってきたそうだ。

「我々の実力を天界に知らしめてやるのだわ」

「私達を認めなかった大天使を見返してやるっス」

 などと息巻いていた。

 このことから分かるように、おはらい戦隊は天界の落ちこぼれである。

 ん、分からない?まぁ、別に分からなくても良いっス。お話を進めよう。

 

 

 そんな『おはらい戦隊』とファウがどんな因縁の元に現在の状況になったのか。

 それを見てみよう。VTRで見ることはできないから文章をアップしよう。




「おい!そこの悪魔!!」

 ファウが街中を歩いていると、急に後ろから声を掛けられた。

「んだテメェ……いきなり人様に悪魔とはケンカ売ってるのかコラ」

 悪魔であることに間違いはないのだが、さすがに悪魔と言葉を投げかけられると、さすがのファウも頭にくるのだった。

 


「お前は悪魔だろう!?」

「悪魔だァ?なに言ってんだてめェは?私のどこが悪魔だって言うんだよ。言ってみろよ」

「お前からは邪悪な気を感じる。これは悪魔の妖気だ」

「ハァ……悪魔の妖気ねぇ」



 そんな言葉は生まれて始めて聞いたファウである。魔界では一般に『魔力』の一言で片付けられる概念だ。

 ファウでさえもそんなことは知っている。ファウでさえ知っていることを知らないということは、

 

(コイツ、魔界のヤツじゃねェな……)

 

 ということになる。

 相手をするのも面倒だし、喧嘩を売られている以上は買ってやるしかないだろう。

 まずはボコボコにする。それで悪魔がうんたらとか周囲に危害を加えようとしていたとして、魔界警察にでも引き渡せば問題にはならないだろう。

 


 それで行こう。とファウは拳を握ったが――。

 

「くっ……なんだこりゃ、力が入らねェ……?」

 

 急に力が体から抜けてファウはその場に倒れこんでしまった。


「私は悪魔祓いの力を持っているのだ。お前の悪魔の力は祓わせてもらった。どうだ?力が出ないだろう」

 「このクソやろう……」



 なんとかして殴りかかろうとしたものの、この具合では致命傷どころか子供にたんこぶもつけられるかどうかも怪しい。

 そうした訳で、ファウは連れ去られてしまったのだった。

 


 『おはらい戦隊』の正式名称は『おはらい戦隊EXシスターズ』というらしい。


 幹部が4人に戦闘員が多数抱えられていて、それなりに大きい組織だそうだ。

「今日の収穫が小娘1匹だけとは、情けなくないっスか」

「悪魔祓い担当はエクソーン担当だわ。あちしらには無理なのだわ」

「ボクはお支払い担当のキャシャーン!お金の支払いならオマカセなのさ」

「ええい、お前たち。真面目にやるのだ!!」

 

 リーダー格は悪魔祓いのエクソーン、ファウをさらったのはコイツである。


「お前等、こんなことしてタダで済むと思うなよ!こんな封印術、ぶっこわしてやるんだからな!!」

「おおっ……怖いのだわ。オンミョーン、封印術は大丈夫なのだわ?」

「どーせー、私の封印術なんか信用ないんスよね。どうせ……」

(いや、コイツの封印術はしっかりしてやがるぜ、マジで)



 声は小さく自信がなさげなオンミョーンの風貌だが、封印術だけは力ずくで破れそうにはない。

 ファウは魔王系女子高生である。がむしゃらで力に任せた魔力や腕力は、何モノをも破壊するだけの実力を持っている。

 あの軍隊キジも人間界では災厄の一つに数えられていて、魔界に存在する破壊神の軍勢に匹敵する脅威であった。

 それをオガー族のテルルと協力したとはいえ退けたのだから、相当なものであると言っていい。

 

 そのファウが力ずくで封印術を破れないのだ。

 


 この封印術は軍隊キジの軍勢に匹敵する効果を持っているということになる。


「それでこの子はどうするんだい?天界に引き渡すの?その時はボクが交渉するよ」

「いや。それではダメだ。奴等は悪魔っ子を引き渡されても、処刑するくらいしか使いようがない。そもそもこんな汚れを天界に持っていったら、私達の方が犯罪者扱いされてしまう」

「我々の目的は天界で名を上げることなのだわ。とすればやることは一つだけ」

「でもこんなの一匹倒したくらいじゃ名前なんか得られないよ。どうせ……」

「フフフ、この私が何の考えもなく小娘一匹を攫って来たと思うのか?」


 突如リーダー格のエクソーンが声をあげた。


「私の悪魔祓いは祓った力を別の者に移すことができるのだ!見たところ、この小娘、小娘のくせにやたら強い力を持っているのだ。それを我々が有効活用してやるのだ。それで悪魔どもを一掃して、この魔界に一大帝国を作り上げるのだ!そうすれば天界の連中も我々を無視できまい。目的大達成なのだ!!」


 エクソーン達はファウから力を奪うなり、外へ出て行った。奪った力で暴れるのだろう。

 ファウには餓死しないようにお皿一杯のポテトチップスが置かれていった。味はわさび味で俗に言う『わさびッチ』である。



「クソー!誰かいねーのか!!放しやがれー!!」

 『おはらい戦隊』秘密基地には既に誰もいないらしく、大声だけが空しく響いた。だが、暴れるうちに不意に手と足を縛っている縄が解けたのだった。 

 


「およ?あんだけ暴れて解けなかった封印が解けやがった。ラッキー!!」

 オンミョーンの封印術は魔力を持つもの限定に働く。つまり魔力を奪われたファウには魔力がない!封印術は効力を失ってしまうのだった!!

 


「あのクソヤローども!覚えてやがれ!!すぐにぶっつぶしてやるからな!!」

 ファウはおはらい戦隊の秘密基地を火のように飛び出して行った。

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