表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第3話 天文18年

隆景:「養子先で肩身の狭い思いをしている我々を見かねてか。父・元就は天文18(1549)年の山口へ向かった際、その供として我々を同行させるのでありました。」

元春:「毛利の一員であることを忘れるなよ。の意味合いもあったかもしれませんが……。」

隆景:「当初は近況報告ぐらいの出張であったのでありましたが……。」

元春:「父の体調優れず、3か月に及ぶ長期の滞在となりまして……。」

隆景:「これが甲斐の国でしたら、そのまま……なのでありましょうが。」

元春:「父・元就と兄・隆元との関係は良好なこともありまして、5月に無事。安芸郡山に戻ることが出来ました。」

隆景:「我々にとってそれが良かったのかにつきましてはさて置きまして。」

元春:「そこで父も感じたのでありましょう。ご自身の年齢を。」

隆景:「53でありましたからね。」

元春:「人間50年であります故。」

隆景:「家督は既に兄・隆元に譲っているとは言え父も第一線で働いている身。」

元春:「いづれ父の寿命も尽きることになります。」

隆景:「そのことも念頭に置きまして安芸・備後両国の情勢を見ていきますと。」

元春:「父・元就が毛利の家督を継いでから大内・尼子両勢力挟まれた安芸・備後には、彼らに単独で対抗することの出来る勢力は存在しておらず、係争事が起こるたびに大内に付いたり尼子に付いたりを繰り返しながら現状維持を目指す……。そんな日々を過ごしておりました。」

隆景:「その尼子・大内両勢力の争いに最も影響を受けることになっていたのが兄・元春が潜り込みました吉川家。」

元春:「あまりの節操の無さ。正しくはそうせざるを得なかったから。なのでありましょうが家臣からしますと(……この人が当主で大丈夫なのだろうか……)。」

隆景:「そこに目を付けた父・元就がテコ入れに乗り出した結果。」

元春:「私は今。大変面倒な人間関係に巻き込まれることになってしまったのでありましたが……。」

隆景:「そんな安芸・備後の小勢力がその日の生き残りを賭け東奔西走している中。勢力拡大に乗り出したのが父・元就。」

元春:「とは言え毛利も独立独歩で勢力を維持拡大することが出来たわけではありませんので、兄・隆元を人質に出すことにより西の大勢力大内家との関係強化に努め、全勢力で持って東側に位置します安芸・備後両国へ兵を進めることになるのでありました。」

隆景:「……と言いましても毛利も含め似たり寄ったりの安芸・備後の諸勢力相手に武力だけで版図を拡大することは出来ませんので。」

元春:「父・元就は安芸の国の諸勢力が大勢力に相対する時、以前から用いていました連合組織『一揆』を活用。各勢力の権益を認めることを条件に、『一揆』の代表者の地位に就くことにより勢力の拡大を図るのでありました。」

隆景:「これにより毛利家は安芸・備後。更には備中へと進出していくことになるのでありますが、あくまで連合組織の代表者でしかありませんので各勢力が毛利に従っているわけではありません。」

元春:「加えて安芸などの諸勢力が一揆の盟主と見ているのは毛利家では無くあくまで元就と言う個人。」

隆景:「もし父・元就に何か……。となりました場合、今の関係が瓦解してしまうことになります。」

元春:「それを抑え込むだけの勢力を毛利単独で持っているわけでは無い。」

隆景:「このような危うい状況にある中での今回の病。」

元春:「父・元就は覚悟を決めるのでありました。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ