再会です!
お待たせしました!
何とかもう少し更新頻度を上げていきます。
伝書鳩で連絡を頂いてから1週間経った。
大陸から来ても良かったが、危険が多いため海から船でミスレイン公国にやってきた。亜人連合の船は貿易の主体のミスレイン公国の物と比べて見劣りしていた。森の恵みで生きているエルフ、ドワーフ、獣人達は余り海に出ないので技術力が低かった。
「しばらく外の世界に出ない間に、ここまで技術力に差が出てしまっているとは・・」
船に乗船していたドワーフは呟いた。優れた名刀を作ることの出来るドワーフでも、浮力を生かし推進力に変換する船の構造などは試行錯誤を何回も繰り返し改善していくもので、いかにドワーフでもパっと作れるものではないのである。
「これからは海の方にも知識と技術を向けなければいずれ大変な事になるだろうな。今回のように海に逃げられても追い付けない」
「そうですね。今回の誘拐のことで痛感しました。もっと色々な所から技術を集めなけば滅ぼされる可能性もあります!これは良い機会なのかも知れません」
シルフィーは同船していたドワーフで族長であるガルムに言った。
「これはワシらの大きな転機となるのか………厄災となるのか……」
大きな変革は色々な所で歪みを生む。全ての者が受け入れられる物ではない。亜人連合も大きく揺らぐかも知れないのだ。それでもこの技術力の差を見せ付けられては変わるしかないだろう。
ミスレイン公国の先導で港に到着すると、大勢の者達が出迎えた。ミスレイン公国の重役達である。今回の訪問を国同士の国交として出迎えた次第だ。
「遠路はるばるようこそおいで下さいました。エルフの族長シルフィー様でよろしかったでしょうか?」
シルフィーは先頭に立ち、正式な挨拶を行った。
「はい。私がエルフの族長を務めさせていますシルフィーです。今回は娘と子供達を救って頂きありがとうございました」
深々と頭を下げる。プライドの高いエルフが頭を下げるのは異例な事だろう。
「そして、こちらがドワーフの族長を務めているガルムです」
「ガルムだ。ワシからも今回の件、感謝する!」
ミスレイン公国の代表と思われる人物も自己紹介してきた。
「これはご丁寧に。私はミスレイン公国、国王アルフォード・ミスレインです。皆さんの来訪を歓迎したします!」
これにはシルフィーとガルムも驚いた。一国の王が港まで出迎えるとは思っていなかったからだ。
「さぁ、シルク!お母さんが迎えに来たよ」
後ろには拐われた子供達がいた。そして亜人連合の船には拐われた子供達の親が乗っていたのだ。
「シルク!」
「お母さん!!!」
お互い、走り出して抱き締め合う。各子供達とその両親も再開を喜び合う!実に感動的なシーンであった。
「皆さん!積もる話もあるでしょうし、長旅でお疲れ様だと思います。お城へどうぞ!ささやかな宴を用意しております」
おお!周囲が歓声を上げる!
「お母さん!ここの国は凄いんだよー!見たこともない機械があったり、精霊さんがいっぱいいるのーーー!!!」
!?
「えっ!シルク!精霊様を見たの!?」
「うん!ここのお姫様と王子様が精霊の加護を受けていて、いつも寄ってくるのー!」
『なんてこと!本当にこの国に精霊が居たなんて!』
シルフィーは母親ではなく、エルフの族長としての顔になりミスレイン公国の城を見つめるのだった。何としても精霊様のお力を貸して頂かないと遠くない将来、亜人連合は瓦解するのだから。