異世界三日目
忙しく投稿が遅れてしまったことをここでお詫びします。申し訳ありませんでした。
僚一は、まだもう少し覚醒しません。しばしお待ちください。
獣人の国であるミステリアでは、国王のマカレードと執事のミエルカが優雅にお茶を飲んでいた。
「やっと執務が終わったわね。この頃何連勤かしら、ろくに休み取ってないから何日か休みとらせてもらうわよ」
「ええ、よく頑張ってくださいました。1週間ぐらい休まれてもいいんですよ?」
「それはちょっと休みすぎかしらね……あっそういえば、新しく出来た温泉あったじゃない?あそこに行ってみたいのよね。」
「それでは、そのような予定を立てましょう」
マカレードは、20歳をちょっとすぎたばかりの若い国王であった。なぜ国王になったか、それは彼女の父親、アークレードに関係がある。アークレードは先の事件の際、獣人の避難の対応に大きく貢献し大勢の命を救ったとして英雄と崇められている。しかし、アークレードは一人でも多くの獣人の命を助けようとしたため自身の命を落としてしまった。そこで、新しい国王を決める時に、英雄であるアークレードの一人娘マカレードに白羽の矢がたった。彼女自身はそんなことに興味はなく国王になるつもりはなかったが、住人たちの熱い支援に負け、国王になったのだった。
「でも、厄介ごとが巻き込まれるような気がするのよね……」
「マカレード様、そのようなことをおっしゃられると本当にそのようなことが……なにやらせわしいですね。」
「ほら、きっと厄介ごとよ」
なにやら城の兵士がやけにせわしくしている。地下へ移り住んでからは、兵士がせわしくすることは一度もなかったので、かなり大きな出来事があったのだろう。
しばらくすると、兵士が部屋をノックしてきた。
「失礼します。陛下、ご報告が」
「なにがおきたのですか?」
先ほどの様子とは打って変わって、国王の雰囲気を醸し出しているマカレードが凛とした表情で聞く。
「実は、先ほど起きた鉄砲水の被害を確認しに行った者が人間が倒れていたということで引き連れてきました。」
「人間ですか……一番面倒なことを……」
「どうなさいますか?陛下。」
ミエルカが淡々とした口調で問う。そしてマカレードはとても残念そうにしながら言った。
「ミエルカ、先ほどの予定は取り消すわ。今からその人間に会いに行きましょう。」
「仰せのままに」
マカレードの悪い予感は的中し、休暇は当分取れなくなってしまった。
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僚一は、薄暗い牢屋の中で目を覚ましていた。
牢屋と言っても、鉄格子ではなくなにやらアクリルのようなもので覆われているらしい。
「荒野の次は牢屋かよ……どれだけ神様は味方してないんだよ……」
なにやら「いつでも味方です!」なんて声が聞こえてきたけれど気のせいだろう、疲れているのだろうか。
そんなことを考えていると何やら多数の足音が迫ってきた。しばらくの後、牢屋への扉が開かれた。
「この人間ですか?倒れていたというのは」
「ええ、でもかわいそうですねもうすぐ死ぬというのに」
なにやら物騒な話が聞こえてくる。死刑にでもされるのだろうか。
「初めまして、私はこの国の国王であるマカレードです」
「俺は、いし……リョウイチだ」
「リョウイチさんですか……単刀直入に聞きます。あなたは何をしに来たのですか?」
「いや……ただ彷徨ってたら、水にまきこまれて……それしか覚えていない」
「それしか?本当ですか?嘘をついてるのでは?」
数秒間沈黙が流れた後、マカレードは秘書だろう人物と話しこんでいる。
なぜ僚一が、疑われているのか考えているとマカレードが話しかけてきた。
「嘘はついていないように見えるのですが、残念ながらこの国の法律で貴方は死刑になります」
「は!?俺は何もしていないだろう!?なんで死刑なんだよ!」
「残念ながら法律ですので、苦しまずに死ねるにですから逆に感謝してほしいぐらいです」
もうこれ以上は話すことがないのだろう、そそくさと国王とその周りの者たちは一斉に部屋から出て行ってしまった。
一人牢屋に放置された僚一の心は絶望に支配され、その心を映すように外は夜の帳を下していった。
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それでは次の話で会いましょう!
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