転生神の尖兵 03
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目の前にスライムが現れた。
寸前のドシュン! という音を考えるに、転生者なのか……?
いや、転生スライム……?
「プル……プル」
とにかく、マニュアル通りにいこう。
『荘厳』と『厳粛』を発動させる。
この2つのスキルを併用することによってFラン大学生である俺も、神様っぽい雰囲気をかもし出すことができるのだが……スライム相手にも有効なのだろうか、分からない。
「あの…………。あ、いや」
いま俺は、神様なんだ。
「あの……」からお伺いを立てて会話を試みるだなんて、そんなの神様じゃない。
ごほん。
「私は転生神である、要するに神様だ」
「プルプル……」
「スライムよ、そなたは転生者か?」
「プルプル……」
あ。だめだコレ。
会話が成立しない。
なにか良い方法は……。あ。
そうだ。
逆を考えてみよう。
俺もスライムの言葉で話せばいいんだよ。
マニュアルは無いけど、やってみる価値はある。
ダメだったら、そんときはその時だ。
また別の方法を考えれば良い。
よし、そうと決まれば、さっそくスライム語だ。
「ぷル……プる、ぷルプるプる?」
「なんでプルプル言ってるの? 神様、もしかして僕が怖いの?」
「え?」
「僕は怖くないスライムだよ、ぷるぷる」
喋った……。
えっ。喋った?
さっきのプルプルは?
俺、もしかして、無視されてたの……?
小学生時代の記憶が俺を襲う。
いや忘れろ! あれは過去のことだ!
大丈夫、俺は大丈夫。
大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫。
よし……落ち着いてきた。
スライムが喋ったんだ、このまま仕事ができなかったら、きっと職務放棄で罰せられていたはずだ、あの女神さまに。
だから良い、これは良い結果なんだ。
言葉が通じるのに越したことはない。
きっと、さっきのも無視じゃないはずだ。
考えことしてたとか、『荘厳』と『厳粛』が効きすぎてたとか、そういうことなんだ、きっと。
「さっきは無視してごめんね!」
コイツわざとなの?
俺の傷口を広げるために転生してきたの?
「……………………………………気にするでない」
「分かった、気にしない!」
いや、少しは気にしろよ。
と、そんな風に受け答えしている時だった。
静かだった空気を、背後にいるチビがぶっ壊した。
ドゴン! ドゴン! とまたも工事中の音が鳴り、壁をぶっ壊す。
「なにあれ! 壁を壊してるの? 僕、得意だよ! 手伝うね! ぷるぷる!」
メタルなのかっていう物凄い速さで、スライムが別の壁へと向かう。
やめろ。
やめてくれ……!
「俺はまだ殺されたくないんだ……!」
脳裏に思い描かれる女神さま。
と、這いつくばる俺。
俺は神様なのに、涙目になりながらチビ2人を止めるのだった




