神バトル肉弾戦 06
なんかこう、どうしてもシリアスに行こうとして、主人公がギャグに無理やりいかせようとするから……なんかこう……平日終わって休日で嬉しい……ふふ……。ふふふ!
「火、水、土よ。我が両腕に纏え。剣となり矛となって目の前を血に染めよ!」
ナノンが詠唱を終える。
それを合図に、両腕に黄色い魔法陣が浮かび上がった。
右腕の魔法陣からは青いケムリが立ち登り、左腕からは赤いケムリが上がった。
ケムリは、ナノンの腕をヘビのようにスルスルとまきつき、やがて魔力となって纏られた。
右腕に氷属性の魔力をまとい、左腕には火属性の魔力をまとっているようだ。
ナノンの拳には、土属性の魔力がついている。
さしずめボクシンググローブのようなものだろう。
どうやらナノンは剣師ではなく剣闘士だったようだ。
なんだか俺の気分もセコンドだ。
横幅50センチ、刀身1メートル半の巨剣を上段に、ダブリがナノンを見やる。
「それが貴様の本気か」
「いいや、違う」
ダブリの言葉を、ナノンが否定する。
ダブリが苦々しそうに顔を歪める。
「俺は神級魔人だぞ! 本気をだしてかかってこい!」
「……もう少し強くなってから来るといい」
「んがあああ!」
ナノンの挑発にダブリが怒り狂う。
それもそうだろう。
なにせヤツは脳筋だ。
自分の筋肉を馬鹿にされたら、そりゃ怒るだろう。
だが確かに、ナノンは圧倒的だった。
ダブリが走り、ナノンに肉薄する。
一瞬の走り、距離が完全に詰められる。
右足で踏み込み、それと同時にダブリが巨剣を振り下ろす。
その間、0.8秒。
ダブリの巨躯から振り下ろされた最重量の攻撃を、しかしナノンは素手で迎えてみせた。
それも、さきほどダブリがチビなのんにやったように片手だけで、微動だにせず、だ。
「え? ナノンってそんなに強いの?」
「うわあ! 神さま! あのお姉さん強いね!」
外野の声などお構いなしだ。
戦闘に白熱している2人はクククと笑い合う。
「ククク……」
「ふ。ふふふ……」
やだ怖いわ。
なんでそこで笑うの?
ちょっと良く分からない。
「すごい! すごいぞ! 見たかミレイヤ、ドール! 俺の攻撃を片手で受け止めたぞコイツ! すげえ!」
「やっと神様に私の成果がお見せできる!」
「うーん! こいつは負けたな! すごい! 本当にすげえ! さあ、俺を倒してくれ! この技を超えてくれ!」
「そうすればきっと褒めてくれる! 褒めてくださる!」
完璧に会話がずれている。
それでも、2人の間にはどうやら言葉はいらないようだった。よく分からんけど。
ダブリが後方に跳躍し、剣を正面に構える。
「『秘剣・ダブルダブリ』、奥義・ダブリスペシャル……!」
相変わらず技名がひどい。




