神バトル肉弾戦 04
くそ! 三人称で書きたい!
うん。本当にダブリは規格外だ。
頭の悪い脳筋かと思ったけど、その脳筋具合が本当にぶっ壊れてる。
まあ神の息吹に参加できるぐらいだし、自分のことを『オークの神級魔人』だと言ってたもんな。
神級魔人ってのがよく分かんねーけど、とりあえずきっと強い部類なんだろう。
「それにしても、よくやるよ」
戦闘が始まってから、かれこれ10分は経っている。
総攻撃数は、軽く1000回を超えているはずだ。
「ふっ! ふっ!」
チビなのんが攻撃をしかける。
なのんは武器をもってはいないが、それでもその攻撃力は凄まじい。
当たり所が悪ければ、ダブリでも悶絶するんじゃないかと思う。
なにせ素手は、自由自在に形を変える臨機応変型の最終兵器だ。
背が小さく腕のリーチが短いとはいえ、なのんには圧倒的なスピードと瞬発力がある。
「はぁ! はあ!」
加えて、剣をもつナノンもいる。
チビなのんとナノン。
その2人でダブリを挟むようにして攻撃しているが、そのコンビネーションが本当に凄い。
チビなのんが1回攻撃し、ダブリが躱す。
その瞬間にナノンが3回の攻撃をしかけ、ダブリはそれを双剣でガードする。
そしてまたチビなのんが攻撃し……と、まるでダブリに反撃を許さない。
「ぜえ! ぜえ!」
それでも、やはりチビなのんの体は小さく、スタミナもなく、経験もない。
さっきから息が途切れている。
他の2人に比べて体力が劣るのは仕方のないことだろうけど……。
とにかく、無理はしないでほしい。
ダブリが足をたくみに使い、なんとか挟み撃ちから逃れようとする。
それを上回る足裁きでナノンが追い、チビなのんが不規則なジャンプや走りで翻弄させる。
いい感じだ。
そう思っていた次の瞬間。
「はぁ! は――ぅぐぇえ!」
チビなのんが蹴られた。
それもただの蹴りじゃない。
ダブリの蹴りだ。
剣士ナノンの攻撃をガードしながら、宙に舞っているチビなのんの腹をダブリの後ろ回し蹴りが貫いた。
「う! ぐ……! ふっ」
吹っ飛び、3度地面を転がり、最後にカベに叩きつけられてから、なのんは静止した。
ピクリとも動かない。
ダブリがなのんへの追撃を試みる。
が、それを剣士ナノンが遮った。
しっかりとした意思をもつ強い瞳で、ナノンがダブリを睨みつける。
「あんな小さい子を蹴るだなんて!」
「これ神の息吹だしよお? それに、なにより――」
なのんは、ピクリとも、動かない。
「……おい? …………なのん?」
だが、俺がそう声をかけた途端、チビなのんの小さな手がぎゅっと握られた。
「神さまの……っ。目の前で……! 私が! なのんが! 神さまの尖兵が!」
口から血が滲んでいるものの一瞬で立ち上がり、なのんは言った。
「負けるわけにはいかないの!!!」
そんな魂の咆哮とともにダブリめがけて突撃し、跳躍。
「うああああああああああああ!」
絶叫しながら空中で拳をかまえ――――そしてまた、吹っ飛んだ。
「うぐっ!」
「ほらな? コイツの体は小さいが、心は立派だ」
度重なった2度目の致命傷。
振り絞った気力も体力も根こそぎとられ、ちびナノンはもう、立ち上がれなかった。
その口は悔しそうに歪められ、目からは2滴の涙がこぼれていた。
「立派だな」
ダブリはそんなチビなのんを見やり、言う。
俺はただただ、誇らしかった。




