コトの始まり。
「何ここ?」
今から15時間後にモブータを転生させている俺も、第一声は同じようなものだった。
時はさかのぼり、15時間前。
俺はただの男子大学生で、目の前には女神さまがいた。
容姿だとか、背丈格好とかは分からないけど、とにかく女神さまなのだろう。
直感でそう思った。
あとから思えば、これもスキルの効果だったのではないかと思う。
「来たわね」
そんな風に言われたので、とりあえず頷いておく。
「きました」
「なんだ、男なのね。じゃあ速攻で終わらせるわよ。はい。これマニュアルね。それでもって、こっちが簡易型マニュアル。それであっちがマニュアルの補足。何かあったら、すぐに連絡して」
パチンっと指を鳴らして、女神さまが微笑む。
「つまらない連絡だったら魂ごと滅ぼすけどね。1億年ぶりのバカンスなんだから、邪魔したら承知しないわよ。それじゃあ、私の代わりに転生神よろしく」
そう言って、女神さまは俺が1度まばたきをしている間に消えていた。
「え?」
待ってくれ。
理解が追いつかない。
これは一体どういうことなんだろうか。
転生神ってなに?
とにかく、マニュアルとやらを読んでみる。
【転生神:様々な世界から送られてくる死者を、つぎの世界に旅立たせる役目を持った神、もしくはその代理人】
【転生神はいくつものスキルを扱うことができる。これについては別冊のマニュアルに記述。部屋の内装については、59ページを参照】
ちょっと厨二ですね。
マニュアルから目を離して、周りを見てみる。
見事に何もない。
床も、壁も、天井も、見事な真っ白だ。
俺はマニュアルに従って、59ページ目を開いてみるのだった。
そうして15時間をかけてスキルを検証し、部屋の内装を俺好みに変えて、現在に至るわけだ。
正直言って、なにをやればいいのか分からない。
ワンワンを異世界に送り出してから1時間。
俺はずっとソファでふんぞり返っている。
ひまだ。
俺はいつまで転生神とやらをやっていればいいんだろうか。
……寝るか……。
そう思い至り、スキルで最高級ベッドを作っているときだった。
ドヒュン!
という音が、俺の背後で鳴る。
次いで
「ここは……?」
後ろを振り返ると、恒例の第一声を放つ、可愛らしい女の子がいた。




