女神さまの素顔 02
女神さまが、膝を抱えてメソメソと泣いている。
その原因は、多分俺。
言動から察するに、なのんとレオルの存在が絡んでいると思える。
まず、なのんについてだけど。
種族の名前だとかが表示される区分に、彼女は『転生神の尖兵』という名前をもって生まれてきた。
次に、レオル。
なのんと同じように、区分には『転生神の手足』という表示がある。
両方とも、どうやら女神さまが5億年働いても得られなかったものだという。
それを代理の俺が、働き始めて数時間で獲得してしまった。
……なるほど、そりゃ悔しいわ。
こういう時は、なんと言えばいいのだろうか。
ご愁傷様?
……いや、絶対違うだろう……。
「転生神の代理期間が終われば、この子たちは女神さまのものになるのでは?」
女神さまは、尖兵と手足が欲しかった。
それを俺が手に入れた。
なら、代理の期間が終わったら、この尖兵と手足は女神さまのものでしょう?
だから元気だして!
というフォローだ。
フォローになっている気はしないが、ちょっと俺にはどうしたら良いか分からない。
「…………ならないわよ」
女神さまは否定的だ。
「……やっぱり、自分で手に入れないと気がすまないってことですか?」
「違う。そうじゃない。………………もしかして何? おちょくってんの?」
「いえいえ! そんな滅相もない!」
「……『鑑別』スキル、使ってないの?」
鑑別?
なんだそれ?
簡易マニュアルにはなかったぞ……?
俺の顔を見て察したのか、女神さまが鼻をすすりながら言う。
「マニュアルには書いてないスキルだから、知らないのも当然か。ごめん、言いそびれた……。はぁ……私ってダメな女神だわ……。……とにかく、『鑑別』って唱えながら、見たいモノを見てみなさい」
言われた通り、とりあえず女神さまを見る。
あとは『厳粛』や『荘厳』と同じように、スキル名を唱えればいいんだよな?
「『鑑別』」
スキルが発動したのが、感覚で分かった。
なんというか、一瞬だけ風呂に入ったような、サッパリとリフレッシュした感覚だ。
【転生神の代理人が、転生神に対してスキルを発動しました。
――――転生神が上位神であるため、失敗。
転生神の尖兵および、転生神の手足の介入を感知。
――――転生神の能力を超えたため、転生神の代理人のスキル『鑑別』を実行します。
――――成功。】
どこからか聞こえてくる事務的な女性の声。
「え……?」
女神さまの周りがぼやける。
「え、ちょっと! まって! なんで……なんで私が鑑別されてるの?!」
しだいに、『なんだか神々しくて、綺麗で、大きな女性』という、俺の目が写している、勝手な幻が消えて行き……。
最後に……、小さな女の子の姿が残った。
「…………今日は厄日よ、厄日だわ……」
ロリとまではいかない。
きっとギリギリ、ロリじゃない。
多分だけど、中学生くらいはあるはずだ。
「もう殺す……絶対ぶっ殺してやるんだからぁ……」
妙に大人ぶっていた発言もしなくなり、女の子な女神さまは、また膝を抱えて呟きだす。
それにしても……。
体育座りで、しかも地面に指先で絵を描いている女神を見ながら、俺は思うのだった。
これで5億歳かあ……。




