天井に空いた穴
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※本日は余力がありそうなので、またあとで更新します。
今週もよろしくお願いします!
なのんの姿が、見当たらない。
いったい、どこに行ったんだ……。
『転生神の神殿』とかいう偉そうな名前の空間を、俺は見回す。
「隠れられそうな場所は……」
呟きながら考える。
この空間は、およそ30畳の広さだ。
だけど置いてある家具は、俺がよく座る、ふっかふかのソファーだけだ。
あと、床には300を超えるマニュアルが乱雑に広げられている。
が、それだけだ。
この広い部屋には、1つのソファーと大量の本しかない。
床と天井をつなぐ柱が数本あるけど、隠れられるほど太くはない。
つまり、ない。
隠れられそうな場所はない。
だけど、なのんがいない……?
『転生神の神殿』は、死んだ者を転生させる場所だ。
死者は魔法陣で召喚されるため、ドアも扉も窓もない。
周りはカベ。
下は地面。
上は天井。
隠れられる場所も、逃げる場所もない。
なのに、なのんがいない……。
「どうしたの? カベ食べる?」
「カベは食べない」
どうしたものか、なのんはどこにいるのか。
俺が考えていると、転生したスライムのレオルが、脳天気にそんなことを訊いてくる。
と、レオルがプルプルと小刻みに震えた。
「探し物?」
「物っていうより、探し人だ」
「なのん?」
「もしかして……どこにいるか知っているのか?」
「うん!」
ナイスだ!
「隠れるところを見ていたのか?」
俺がそう尋ねると、レオルは体を3回横に振った。
『いいえ』の意味らしい。
「感じたんだよ!」
レオルが元気よく答える。
おお、なんかすげえな。
さすがは、転生神の手足ってところなのか?
いや、転生神の手足が具体的に何をしてくれるのかは分からないけどさ。
とにかく、レオルは探し人が誰かを見事言い当て、しかも居場所を知っている。
しかも、「感じた」とか武術の達人っぽいこと言ってる。
すげえなあ。
そうやってレオルに感心していると、上からパラパラと砂が落ちてきた。
「……ん……?」
砂……?
不思議に思っていると、レオルが上を見上げてにっこりと笑った。
「ほら! なのんはあそこだよ、褒めて褒めて! ご褒美にカベ貰ってもいいよね!?」
その視線を追いかける。
『転生神の神殿』の天井に、大きな丸円の穴があいていた。
こんなもの、なかったはずだ。
レオルの言葉。
チビたぬきの獣人の姿がないこと。
そんなことを考えずとも、犯人はすぐ分かった。
「………………なのん……?」
天井にあいた穴に向かって声を出すと、すぐにソイツは現れた。
「あ! 神さま! あな掘っておきましたよ! 頑張れりました!」
鼻のあたまや頬に泥を付けて、なのんは天井の穴から、俺とレオルを見て屈託のない笑顔で笑うのだった。




