神の手足
本日も無事、更新させることができました!
よろしくお願いします!
俺は神。
それも、転生を司る神だ。
……と言っても、代理だけどな。
なぜ転生神なのか。
どうして俺が選ばれたのか。
俺じゃなくては、いけなかったのか。
そんなことは、まあどうでも良い。
過去を考えても、いまを変えることはできない。
だけど、今を変えれば未来は変わる。
良くも悪くも、未来はいま次第だ。
だったらやることは1つ。
女神さまの評判を、つまりは、転生神の評判を落とさないように、しっかりきっちり仕事をこなすだけだ。
さもなきゃ俺は、本当の転生神である女神さまから、罰を受けなきゃならなくなる。
そんなのはゴメンだ。
さて…………、目の前には、チビが2人。
1人は、なのんっていう女の子だ。
身長は50センチほどで、2頭身。
手足は10センチくらいしかなく、ヨチヨチした動きを見せてくれる。
けれど見た目に反して怪力なようで、壁も素手で壊せる強者だ。
ヒルビナという女性を「ナノン」に改名して転生させたら、神の尖兵というスキルを持って生まれてきた。
詳細は不明。けれど仲間だ。
もう1人はスライム。
失礼。
もう1匹は、スライム。
死者だ。
別の世界で死んで、転生するためにココにきた。
俺の仕事の客ともいえるな。
客と言っても、お客様は神さまだーなんていう精神を、俺は持ち合わせていない。
ここじゃ店員は神さま、つまり俺が神さまだ。
俺に逆らえば、危険分子としてカワイソウな転生先を用意してやる予定だ。
既に1人、散々な転生人生を堪能している。
ふふふ。
楽しんでくれいてるといいんだが……ふふふふふ。
「神さま神さま」
「ん?」
っととと。
俺は悪い考えを振り払って、なのんに向き直る。
こんな顔、幼女に見せるべき顔じゃないからな。
なのんが俺を見上げる。
あまりにも小さいので、首の角度は極端だ。
「あとで遊んでください!」
神の尖兵だなんて大層な肩書きを持ってはいるが、考え方は子供だな……。
そんな風に思いながら、俺はなのんの頭を撫でてやる。
「さて……」
本日何度目かもわからない、仕切り直しだ。
転生神のスキル、『バレテーラ』を使って、スライムの個人情報をすっぽ抜く。
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死者名:レオル・ライヴィデータ
区分:スライム
性別:両性
善ポイント:10
悪ポイント:10
どっちつかずポイント:0
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善ポイントってのは、生前に行った善行を、ポイント化したもの。
悪ポイントは、生前に行った悪行をポイント化したもの。
どっちつかずポイントってのは、その2つに当てはまらない、けれど自分のためにやったわけじゃない行動をポイント化したものだ。
……それにしても、低い。
こんなにも低いポイントを見たのは初めてだなあ……。
いや、まだ3回しか転生させてないけどさ。
それに名前だ、名前。
ちょうカッコイイ。
スライムのくせに。
「レオル・ライディデータか。……良い名前だな」
「ありがとう! パパかーちゃんが付けてくれたんだ!」
パパなのか。
母なのか……。
どっちなのだろう。
パパかーちゃん……。
俺は唯一の家具の、ふっかふかなソファーに座る。
そんでもって、転生神のスキル『パーランス』を発動させる。
この『パーランス』は便利だ。
なにせ、指定した物体を、俺以外に見せなくさせることができる効果をもっているからな
効果の対象はマニュアルだ。
…………これでカンニングしていてもバレない。
「ようこそ死者スライムよ。俺は転生神、お前に新たなる生を授けよう」
スライム……もとい、レオルが目を輝かせる。
「うわー! うわー! これが神さま! これが神秘! うわー、うわー!」
……。
……感激しているところ、ごめんよ。
ごめん。
これ、定型文なんだ。
俺はマニュアルをガン見しながら、心の中だけで、そう呟くのであった。




