黒魔術師1
初投稿です
もう何千年前のことです。天界と魔界の全面戦争が起こりました。この戦争の戦場はこの二つの世界の間にある人間界。人間たちも自分たちの世界を荒らされたくないと長い間お世話になっていた天界側につき戦争は始まります。
10年後戦争は終わりました。天界の女神様たちは戦争参戦者1000人のうち950人が戦死。魔界の悪魔たちは参戦者9800匹のうち7500匹が戦死。そして人間たちは戦争参戦者12000人のうち10500人が戦死しました。どの軍も甚大な被害をもたらしました。
しかし人間たちへの被害はそれだけにはとどまりません。戦時、魔界軍は人間界の約7割を占領しました。それは人間軍と天界軍の総攻撃によって1匹残らず殲滅、撃退しました。だが魔界の悪魔たちはすった空気を瘴気として吐き出します。これにより占領された7割の場所は瘴気に覆われました。瘴気は空気と同じで目に見えず、匂いもしません。そして瘴気は吸い続けると最短1年で強力な感染力と致死性を誇る伝染病をまき散らします。天界の女神様たちは瘴気によって病気になったりしません。なので瘴気というものがあることも知りません。
人間たちは瘴気のことを全く知りませんでした。戦時には1年も瘴気を吸い続けることはなかったので伝染病は発病しませんでした。
しかし戦後6年たって人間界も復興し終えて間もないころ、戦時占拠されていた町のひとつで8歳の女の子が伝染病を発病しました。すぐに周りの人たちにも感染していき、1ヵ月でこの町は廃墟と化しました。そのころはまだ誰も伝染病の原因である瘴気の存在は知りません。
さらに3年たちました。人間界の約4割の場所が伝染病により死滅し、生物は住める環境ではなくなりました。やっと人間たちは瘴気の存在にきづく。
さらに4年後。この時点で人間界の約6割の土地が死滅しました。このときある青年が伝染病が発病した最初の町へ行きました。
青年の名前はライアス・ド・レイユ。その時代にあった未完成の黒魔術すべてを完成へと導き、なおかつ自身で50種以上の黒魔術を作り上げたという伝説の黒魔術師です。
彼はその町である極悪非道な黒魔術を作り上げました。名は『天軸』。世界中の瘴気と伝染病を1か所に集め、そのすべてを世界中に均等に放出する。そして発動地点から半径20kmは瘴気、伝染病は侵入できなくなる魔法です。
『天軸』は発動されました。これにより発動地となった伝染病発病の地以外はすべて瘴気と伝染病にまみれることになり、そのときの世界の総人口の約8割が死亡。生きている人間は25000人を下回りました。
生きている人間たちは『天軸』発動の地であり、唯一の安全地帯である町を『ヴァルハラ』と呼び、逃げ込みました。
そして大虐殺を引き起こした黒魔術を発動した張本人であるライアスは『天軸』の発動代償としてもう二度と魔法を使うことができなくなっていました。
生き残った人間の代表となった人は彼を処刑することに決めました。
彼はすべての罪の代償として生き残った人間たちに数々の罵声を浴びながら公開処刑されました。
「世界が俺を裏切っても俺は世界を裏切らない」
数々の拷問によりかすれきってしまっていた喉での彼の最後の一言は誰の耳にも届きませんでした。