ドラゴン
「いや~、すまなかった。」
男はそういいながら恥ずかしそうに頭をかく
「大丈夫ですか?
いきなり倒れたんでびっくりしました」
「あまりに驚いたんでついな・・・
しかしその数字は本当なのか。
いや、数字を誤魔化すことなんかできないはずだしな、」
「この数値はおかしいんですか?」
男は真剣な顔をし
「今の人間のステータスは平均が100だ
世界を魔王の手から救った勇者も1000が平均だったらしい。
だがあんたは10000を超えている。
ドラゴンと対等かそれ以上だ。
あんた何もんだ?
人間じゃないだろ。
・・・・・まさか魔族か!」
男はそういう
なるほど
みんな100ほどしかないのか
だからアスラもあの弱い狼にてこずっていたのか
てか1万越えって
最初からそのステータスとかドラ○エなら魔王を最初の城から殺せるよ
どんなクソゲー
「いや、人間ですよ。
カードにも種族:人間って書いてますし。
俺の力がいろいろおかしいのはわかりました。
一応人には黙って置きます」
「そうしたほうがいい。
あんたはいうなら人の姿をした化物だ。
俺たちドワーフのような種族ならともかく人間にばれるとやっかいなことになるかもしれない
俺も黙っておくから」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げる
「武器のことだったな・・・
正直あんたにあった武器なんて見当たらないがあんたならどんな武器でも使えるだろう。
とゆうか直接殴ったほうが強いんじゃないか?」
男は笑いながら言う
「いや、剣ってほら・・・・かっこいいじゃないですか」
「かっこいいって・・・」
「俺、剣を使わないところから来たんで、会う人みんな剣を持っててかっこいいなって」
「そうなのか。
ならこれはどうだ?
この店で一番大きく、一番重い剣だ。
誰も重すぎて扱うことができなかったんだ。
あんたならいけるだろう」
男は立てかけてある剣を指さす
男の指の先には俺の身長より大きく、俺の腰より大きい刃幅をもつ大剣があった
刀身は白く煌めき不思議な魅力を持っている
「こいつはある魔物を狩るために作られた武器だ。」
「ある魔物?」
「天使だ。天使殺しの武器だ。」
「天使を殺す武器?
なんで天使を殺すのですか?」
「どうして?
どうしっててお前、あの神どもが魔王の側についたときに俺たちの先祖を何人殺したと思っているんだ。
勇者がいなかければ人間もドワーフもエルフも全部天使の手で滅ぼされていたさ」
どうやらこの世界の天使は信仰の証じゃなく
魔物扱いのようだ
その気を付けないと
かるくカルチャーショックを受けそうだ
まぁ俺は神なんて信じないが・・・
「天使はあの戦争で絶滅したとされているからその剣には使い道がなくてな、
それにあの勇者以外には使えなかったのだ。
最初は国宝にしようとしていたがそれをこの剣に宿る精霊が断ったんだ。」
「精霊・・・
そんなのもいるんですか」
さすがファンタジー!
「どうだこの剣は?」
「いえ、いいです。
あんなの邪魔なんで
それに高そうだし」
「え?!・・・いやそ、そうか・・・
そうだな。じゃこれでいいか?
片手で使える剣がいいです。」
「それならこれがいい。
銘はないがよく切れる。
魔法付与がされているから少し高いが。」
男はよくある剣のようなものを持ってくる
銀色に鈍く光った剣を見て自分が刃物に惹かれているのがわかる
「これは・・・・綺麗ですね・・・
魔法って言うとどんな?」
「これには身体能力アップの魔法がかかっている。
まぁお前さんにはあまり関係ないがな」
「そうですね。
これにします。いくらですか?」
「本当なら金貨6枚だが、今回はおまけして金貨4枚だ!」
金貨四枚・・・
高いな~
でも武器だからそれくらいするのか
「わかりました。 はいこれを」
俺は金貨四枚を取り出し男に渡す
「まいどあり。
こいつは剣を買ってくれたお礼だ。」
男は小さな袋を取り出し俺に渡す
「これは?」
「道具袋だ。みたところお前さん道具袋を持ってないからな。
これは魔法で20㎏までならどれだけ入れても形が変わらないんだ。
魔力を通せば何キロ入ってるかわかるしな」
「そんないいものを・・・いいんですか?」
「なに、どうせ俺には必要のないものだ。
そうだお前さんの名前を教えてくれ。」
「名前ですか? 俺の名前はタクミです」
「タクミか・・・この辺では聞かない名前だな。
俺の名前はノービンだ。これからよろしくな
なにかいい魔物の素材があったら持ってきてくれ。
武器を作ってやろう」
俺はノービンとすこし話をした後、冒険者ギルドに向かう
今日から冒険者の仕事を始めるのだ
冒険者ギルドの中は朝ということだけあってあまり人がいない
カウンターには昨日とは違うお姉さんがいる
俺は依頼を探すために依頼書の張ってある依頼板とかいうやつを探す
依頼板はすぐ見つかる
てかカウンターの隣だった
依頼板の前には人がいるようで、あまりごつい鎧を着ていない髪は黒っぽい女性だ。
顔は見えないが背が高く、腰に掛けている剣も高そうだとわかる
・・・・・・髪が黒い?
たしかアスラは髪が黒いのは勇者の末裔だけだった言ってたような。
でも黒っていうか黒く見えるだけだから違うかも・・・
それに俺の何かが言っている・・・
あいつにかかわるとめんどくさくなると
女性は受ける依頼を決めたらしく、張ってある紙を取り、カウンターに向かう
・・・なるほど、あぁやるのか
俺は女性がいなくなったのを確かめてから依頼を見る
依頼には討伐、採集などがあり
E~Dまでは収集、C~SSSまでは主に魔物の討伐や魔物の素材集め
他にも護衛などがあるようだ
俺はCランクなのでCランクの依頼板を探す
ここではE~Sまでの依頼板がそれぞれ用意されているようだ
SSやSSSはないけど、たぶんSで英雄なんだからいないんだろうね
俺はCランクの依頼書を見て受ける仕事を探す
・・・・・・・・文字が読めない
俺はカウンターにいってお姉さんに助けを求める
「あの、すいません。俺文字が読めないんですけど、」
「そうなんですか、それなら私が代わりに読みますよ」
お姉さんは微笑みながらそう言ってくれる
天使だ。
・・・・・・・おっと
すこしスリップしていたようだ
「あの・・・大丈夫ですか?」
俺の心配をしてくれるお姉さん
「い、いえ・・・大丈夫です。」
「そうですか、えっとどんな依頼を受けたいんですか?」
「えっと・・・どんなのがあるんですか?」
「あなたのランクは?」
「Cランクです」
「Cランクでしたら、討伐系ですね。
これなんてどうですか?
竜退治。」
お姉さんは微笑みながら俺にドラゴンの絵が描かれた依頼書を渡す
どうやらこのお姉さんは天使ではなく悪魔だったようだ
「この竜は竜としては最低ランクですし、アスラエル様から認めてもらっているというあなたなら大丈夫でしょう」
ん?
「アスラから認めらている?」
「はい、ここの噂になっていますよ
英雄アスラエル様が認めた冒険者だって。
みんなあなたの顔を知りませんが私は昨日いましたので」
「そうなん・・・です・・・か」
「では、この依頼でよろしいですね。
あなた様の力を見ることができるようで楽しみです。
英雄に認められた力を見せてください」
「あ、はい」
なんか押し切られてしまった。
始めての依頼が竜って・・・
死ぬかも
「では、依頼の説明をいたしますね」
「この竜の名前はリーンドラゴン
ドラゴンって呼ばれていますけど飛べないドラゴンです
翼はあるのですが飛行能力をなくし身軽になった分素早い動きをします
体表は緑色のうろこで覆われており、並の冒険者だと傷をつけることもできません
ですが、あなたなら問題ないでしょう。」
その根拠はどこから出てくるんだぁぁ!
「大きさは5M ほどで人語を理解しませんので会話が無理です。
依頼者は商人でリーンドラゴンの肝を所望です。
肝は心臓の隣にあるので気を付けてください
肝をギルドまで持ってくることが依頼です」
「そのリーンドラゴンってどこにいるんですか?」
「リーンドラゴンはウエウル―の草原に生息しています。」
ウエウル―ってどこよ
「あの・・・ウエウル―の草原ってのはどこですか?」
この街を抜けて常夜の森の手前にある黒の草原と呼ばれている場所です。」
黒の草原・・・
俺がここに来る前に通ったところか
「わかりました。
じゃぁいまから行ってきますね」
「あ、報酬の話をしていませんでした。
報酬は金貨8枚です」
金貨八枚!
結構な額じゃないの?
それだけ出すってことはリーンドラゴンってやっぱ強いんじゃ・・・
俺は適当に食料を買い、武器屋のおっさん・・・ノービンのくれた袋に入れる
おぉ!
ほんとに入っていった・・袋を覗くが真っ暗で何も見えない
これどうやって取り出すだ?
袋に手を入れ、さっき買ったリンゴっぽい食べ物をとろうとすると
手の中にリンゴがある
・・・・なるほど、こう使うのか
俺は街を出て昨日通った草原目指して走る
幸いなことに俺の脚はこの世界に来てからかなり早くなっているようで馬より速い
数分で草原に辿りつき、ドラゴンを探す
ドラゴンはすぐに見つかり、俺はその姿をよく見る
体は紅く燃え上がり、顔には大きな角があり、尻尾は巨大な蛇となっていて
その口にはノービンの店に置いてあった天使殺しの武器よりも太い牙が何本も連なって
足の先には俺を一撃で殺せるような黒い爪がある
その体は大きくゆうに10M はこしているように見える
これがリーンドラゴン?
どうみても竜じゃなくて龍じゃん
ミラボ○アスみたいな龍じゃん
あんなの勝てるわけがない
よし!逃げよう
依頼は失敗になるが命の方が大事だ
俺がその場から逃げようと一歩下がると
ドラゴンが俺に気づく
『グゥギャァァ!!!』
ドラゴンは雄叫びをあげ、翼を動かし、空に飛び立つ
空にとんだドラゴンはそのまま俺に向かって向かってくる
「うぁああああ」
俺は向かてくるドラゴンをぎりぎりで避ける
さっきまで俺がいた場所は深くえぐれている
まずいまずいまずいまずまずい
これはまずい
逃げれなくなった
こんなことになるだったらあの武器を買うべきだった・・・
クソッ!
ドラゴンは尚も俺に向かって空中から突進を仕掛けてくる
ドゴンッ!っと音が聞こえ俺は宙を舞っていた
ドラゴンの突進が俺に当たり
俺の体は吹き飛ばされる
ドコッガシュッベキッっと変な音を出しながら
俺の体は地面を跳ねながら転がり
数十メートル先まで俺は飛ばされる
「ガフッ!ゴホッゴホ」
俺は口から今朝食べた食べ物を吐き出す
俺の体は大した怪我はしていないようだが、服はボロボロになっている
あぁ・・こんな格好で街に戻れないな・・・
そんなことを考えていると
ドラゴンが『ギャァァァァァァ!!』と叫びながらまた俺に向かってくる
俺はとっさに剣を抜き、ドラゴンが体に当たる寸前を狙って剣を横なぎする
ドン!
おおよそ剣があたった音じゃない音が出る
ドラゴンは俺が切った方向に叫びながら飛んでいく
『グガァァァァ!!!』
ドラゴンは立ち上がる
その顔の鼻は俺がつけた傷によって黒く染まっていた
『グルルッッ』
ドラゴンはどうやら俺の力が自分と同等だと気づいたらしく警戒を強める
さっきのことで俺の力がドラゴンに通用することを知った俺は剣を力強く握る
ベキベキッと剣の柄から音がするが俺は気にせずドラゴンに向かって走る
ドラゴンは向かってきた俺に右足を上げ振り下ろしてくるが俺はそれを跳んで避ける
避けられるのは想定済みとばかりにドラゴンは俺に向かって口から火の球を吐き出すが
俺はそれを剣で斬り真っ二つにする
圧倒的力とスピードで振られた剣は衝撃波を生み出し、火の玉を切り裂いた勢いのままドラゴンに斬りつけるがドラゴンは衝撃波に気づいたらしく、自分の顔の前に右手を持ってくる
バシュッ
という音と共にドラゴンの右手は落ち、そこから赤黒い血が噴き出す
『ギャァァァァァァアアアア!!!!』
悲鳴のような声を出しドラゴンはその場をころがりまわる
俺はその瞬間を逃さまいとドラゴンの首に向かって剣を振り下ろす
ドスン
ドラゴンはその首を落とし、絶命する
首元からは血が噴き出し、
元々黒かった草原はドラゴンの血でさらに赤く染まる
「ふぅー・・・・」
俺はその場で倒れ、少しの間休憩することにする
10分ほどその場で寝ころんでいた俺は起き上がり、肝をはぎ取るために剣を取ろうとして自分の手を見ると、その手が光っているのがわかる
なんだ?
と思ってドラゴンの方を見ると、ドラゴンの体が光り出す
その光はそのまま俺の手の中に入り込んでくる
それはアスラが俺に魔法を教えてくれた時と似ていた気がする
5秒ほどでドラゴンの体は光るのをやめ、俺の手も光が消えていく
なんだったんだろ?
・・・まぁいいや
そんなことより肝をとらなきゃ、俺はドラゴンの体に上り、剣でドラゴンを捌いていく
生き物をばらすのは初めてなはずなのに嫌悪感は不思議と感じない
数分後
ないんだけど・・・
肝なんて
てか心臓もないんだが
あったのは宝石のように綺麗で大きな石だけ
どうしようこれだと依頼が達成できない
俺が途方にくれていると遠くに大きなトカゲがいるのが見える
紅い鱗に小さな翼、大きさは5Mくらいかな
・・・・・・あれ?
あいつがリーンドラゴンじゃないの?
じゃこいつは?
俺はドラゴンの体から手に入れた石を道具袋の中に入れ、適当に鱗とか爪を剥ぎ袋に詰め込む
剣はさっきドラゴンの体を捌いている途中に折れてしまったので仕方なく素手で殴ってみることにして
リーンドラゴンと思われるトカゲに近づいて殴りつける
リーンドラゴンは一声もあげることなく動かなくなる
やっぱこのくらいの強さなのか・・・
じゃああいつはいったい・・・
まぁ後でお姉さんに聞いてみるか
俺はリーンドラゴンの体から肝を探し、ついでに鱗を何枚かもらう
リーンドラゴンの体の中には石が入ってなかった魔物によって違うのか?
するとリーンドラゴンの体がさっきと同じように光だし、俺の手も光る
手をリーンドラゴンに向けると手の中に光が入ってきて、不思議な感覚に襲われる
今回は2秒ほどでリーンドラゴンの光は消える
あ!やばい
はよ帰らなくちゃ
肝が腐るかもしれない
俺はドラゴンとリーンドラゴンの死体を放置したまま街に帰っていった