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迷子って嫌だよね


「アスラさんはどうして森の中にいたんですか?」

「あぁ・・森の調査の仕事を受けて調査にきたんだ。

あの森は元々魔物があまりいなかったんだ。

しかし最近は森がおかしく、魔物の数が増えているんだ。

あのウルフファングも数日前までは森の中にいなかったはずなんだが、

こんなことが各地で起こっているんだ。

魔物の生息域が広がっているらしい。

しかも高レベルの魔物や凶暴な魔物も増えてきているんだ。

だから

俺に依頼がきたんだが、結果はまぁ見ての通りだがな。」


アスラさんはすこし自嘲気味にそういう


「あんたが来てくれなかったら確実にあのウルフ達の餌になっていただろう

改めて礼を言わせてくれ、ありがとう」


アスラさんが俺の方に向き直し頭を下げる


「いえ・・俺もあの森を出れなくて焦っていまして。

アスラさんを見つけた時、何も考えずに駆け寄ってしまいました。

正直、言葉が通じなかった時はかなり焦りました。」


「アスラさんだなんて・・あんたは俺の命の恩人だ。

冒険者は命を賭ける仕事だ。

だからこそ命を助けられたときは必ずその恩に報いると冒険者になったとき誓ったんだ。

アスラと呼んでくれ。」

「わかりました。アスラはさっき異世界の勇者といいましたよね?」

「あぁ、この地に伝わる昔話だな」

「その話を聞かせてほしいのですが。」

「かまわないが、そんなことを聞いてどうするんだ?」

「いえ・・・気になったもので」


「そうか・・・では話そう」


アスラさんはかつてこの世界に召喚された異世界からの勇者の話を始める

この話は要約すると、

今から1000年ほど前に魔王と呼ばれる魔を束ねる王が生まれたそうだ

魔王はこの世界に存在する魔物、悪魔と呼ばれる種を率いて世界を手に入れようとしたそうだ。

そのころ栄えていた人は魔法を駆使し迫りくる魔王の軍勢を阻止しようとする。

魔物の力を人を超え次第に人はその数を減らしていく

困り果てた人の王は最後の希望を託し、ある学者が創り出したとされる召喚魔法に希望をかけた

召喚魔法とはこの世界とは違う世界をこの世界とを繋ぐ扉を作る魔法である

実証もなにもされていない伝承のみが残される魔法に王は希望をかけ魔法を実施する

そして召喚魔法は成功し、魔法陣から黒髪黒目のまだ幼さが残る男が召喚されたそうだ

この世界の人には起こりえない黒髪の少年を持つ少年を、王は魔王を倒すために現れたと国民に報告する

魔王を倒す使命を王から受けた少年は勇者と呼ばれ、その数日後勇者は魔王を倒す。

魔王を倒した勇者は人々を救った救世主とされ、みんなから祝福を受けながらこの世界で一生を終えたそうだ


・・・・・・・・大雑把すぎてよくわかんねぇ・・


「こんなところだな、もっと詳しく話を知りたいなら直接本を読むといい」

「いえ、ありがとうございます」

「あぁ、今日はもう遅いから寝よう。

明日は街に帰るから日が昇ったら出発だ。」


俺たちは森の近くで暖を取り

寝転がる


「俺が見張っておくから安心して寝てくれ

出発する時間になったら起こすから」

「はい。お願いします。」


なにから見張る・・・とはいう必要はないだろう

さっきから遠くでなにかの叫び声が聞こえるし


「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」


俺はそのまま地面に仰向けになり目を閉じる

不思議なことがたくさん起こったが今考えてもなにもわからなそうだ

寝よう・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「寝たか・・・」


目の前に仰向けで寝ている少年を見ながら呟く

目の前にいる少年は自分の命を救ってくれた恩人だ。

だが、謎が多すぎる


その喋り方もそうだが、見たことのない黒一色の服、顔は暗くてよく見えないが、この近くの人間じゃないようだ

なによりその力・・・

風を切るように走り、あのウルフファングを一撃で・・しかも蹴りで倒す力

なにもかもが謎だ

もしかしたら近頃魔物の動きが活性化しているのとなにか関係があるのかもしれない

このことは王に報告しなければ・・・

しかし魔法をしらない風だったがいったいどこからやってきたんだ・・・

あの魔素がうすくテレポートなんて魔法は使えないはずなんだが・・・

いや考えても仕方ないことだ

あとは国に判断を任せよう

今はこの少年が魔族ではないことを祈ろう

俺はそんなことを考えながら朝日が昇るのを待つ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


朝・・・アスラさんに声をかけられ目を覚ます

アスラさんはなぜか興奮しているようにも見える


「おいっ!

どうゆうことだ!

なぜタクミの髪が黒色なんだ!

まさかお前・・・勇者なのか? 」


昨日会ったときは暗かったので俺の髪の色には気づいてなかったようだ

おそらくアスラは俺の髪が勇者と同じ黒髪だということに気づいて

驚いているんだろう

俺はなぜか夜でも昼のように見えるようになっているのでアスラさんのピンク色の髪を見ても今は驚かないが


「落ち着いてください。

俺は勇者なんかじゃありません。

たまたま同じ髪というだけです。」

「しかし・・・その黒髪はこの世界には勇者の末裔にしか受け継がれてないはず。

しかし勇者の末裔でもそんな漆黒の黒じゃない」

「いえ・・・おそらく俺もその勇者と同じ世界から来たようです。

理由はわかりませんが、周りに人がいなかったのでその・・・召喚とかじゃなく、別のことが原因で」

「そうなのか・・・いや、そうゆうことか。

魔法を知らなかったのもウルフファングを倒した力も勇者と同じ力を持っていると考えれば・・・

ではタクミは魔族じゃないんだな・・・」

「魔族・・・てのはよくわかりませんが、人間です。

髪は俺が住んでいたところだとみんな黒髪ですし」

「そうか・・・すまなかった

あの力を見てどうしても人に見えなくてな

その体のどこにウルフファングを倒せるだけの力があるのか考えていたんだ

魔族が人に化けたのかと思ったがそれも杞憂だったようだな。

すまなかった・・・では、街に行こうか。」


俺はアスラさんについていき街に行く

その途中、角の生えた黒い馬やカラスのような鳥が襲ってきたがアスラさんが剣で倒していく

アスラさんはすごく強いようだ

一度も攻撃を受けることなく魔物を倒していく

そしてなにより驚くべきは俺の体だ

一度黒い馬の体当たりを喰らい俺の体は吹き飛ぶが怪我はなく、俺の体に当たったはずの角が馬から無くなっている・・・・

そのことに怒った馬が再度俺に襲い掛かり当たる瞬間に右拳で殴りつけると馬の体が弾け飛ぶ。

頭は吹き飛び、そこから大量の黒い血を吹き出し、俺の体を黒く染めていく。

なんかイカスミみたいだ・・・

アスラさんの方を見てみると信じられないといった感じの顔でこっちを見てくる

そんな顔されても・・

俺もよくわかんないし


それを数回繰り返した後、俺たちは街に辿りついた

「やっとついたな」

「そうですね」


「ここからどうする?

俺はこれからギルドに行くがついてくるか?」

「はい、そうします。

一人でいってもここに知り合いはいませんし」

「そうか。

冒険者になるんならこの手紙を受け付けに渡すといい、

俺からの紹介という証拠になるはずだ」


そういって俺に手紙を渡してくる。

「何からないまでありがとうございます。

アスラに会わなかったら俺は森の中で死んでいたかもしれません。」

「なに、お安い御用さ」


「では行きますか?」


「いやその前に服を買いに行こう

その服は目立つ上に魔物の血でべとべとだろう」

「でも・・俺、お金持ってませんよ?」


俺がそういうとアスラは笑いながら


「子供が遠慮することはないさ

俺が買ってやるよ。

それにタクミが倒した魔物の素材を売ったりすればかなりの額になるはずだしな。

ギルドにいったら渡すよ」

「やっぱ魔物の素材って売れるんですね」

「あぁ。ブラックフォースの毛皮は高値で売れる。基本レベルが30レベルのモンスターだからな

この辺ではかなりの高レベルモンスターだ」


レベルとかあるのか


アスラについていき服屋に着く

服屋の中には日本のような服ではなくローブのような服や下着のようなものがある


「これでいいか?」


アスラは俺に黒色のローブと黒い下着を俺に見せる


「はい、ありがとうございます」


アスラは店員と思われる人のところに近づきローブと下着をだしお金を払う


「ついでに服の浄化を頼みたいんだが」


アスラは店員に追加のお金を払いそう言う


店員はわかりましたといい

俺に向かって手をかざす

店員の手は青い光を放ちその手から光が離れ俺にぶつかる


店員が何かを発した瞬間、光が瞬き、とっさに目を閉じる

すぐに目をあけ自分の体を見てみると、さっきまで血で真っ黒に染まっていた俺の体はここに来る前と同じように綺麗な状態に戻っている


「おっ?

綺麗になったな」


そうアスラさんがいい俺にローブを渡す


「これを着るんだ。

あとお前の黒髪だが色を変えることはできないのか?

その黒はかなり目立つ、このままだと王国の耳にも入ってしまうぞ」


「そうですか・・・じゃぁ色を変えてもらいますか?」


「わかった。金色でいいか?」

「はい、何色でもいいです」

「では、こっちに来てくれ。

誰にも見れないようにな?

この魔法は三日ほど持続する。

消えたら今度は自分でやってくれ」


「俺、魔法使えないんですけど?」

「大丈夫だ、タクミには魔力が見えているんだろう?

なら最低限の魔力があるはずなんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ。

魔法はイメージの力だ。

魔力をイメージで固定して変換させることで起こる現象のことだ

慣れてくれば頭の中で考えるだけで魔法を実行させることができる。

そのことを頭に入れておいてくれ

あ、あとタクミは俺たちの言葉を話せないんだよな?

なら翻訳の魔法も覚えるといい」

「はい・・でも俺あまり物覚えがいいほうではありませんよ?」

「いや、魔法は言葉で教えるのではなく、相手の魔力に魔法の情報を書き込むことで教えることができるんだ。

覚えれる魔法の数は人によって違うがどんな人でも5個は覚えることができるらしい」

「そうなんですか・・・なんかRPGみたいですね」

「RPG?

なんだそれは?」

「いえ・・気にしなくていいです

じゃ、お願いしますね」

「あぁ。ではいくぞ。

すこしくすぐったいが我慢してくれ。」


アスラは手を光らせたまま俺の頭に手を置く

すると頭の中に文字が流れ込んでくるのがわかる

英語ともちがう文字が流れ込み俺の体に染み渡っていく

十秒ほどで終わり、アスラが手を放すと、体の中を動き回られるような感覚が消える


「ふぅ・・・」

アスラはすこし疲れたような声を出す

「どうだ?

俺の魔力をタクミの中に流し込んだんだが、問題はないか?」

「....なにかが体の中に入ってきたのがわかりましたが」

「それが魔力だ

タクミは魔力のことも知らないのか」

「はい・・・これで俺は魔法を使えるようになったんですか?」

俺が聞くとアスラが

「いや、俺の魔力が落ち着くまで一時間ほどかかる

それまでは使えないはずだ

落ち着いてきたら自ずと魔法についてわかってくるはずだ」


そうなのか・・・俺も魔法を使うことができるのか


「ではギルドに行こうか、俺はギルドに行ったらちょっと用事があるからそこでお別れだ。

まだ恩を返しきれていないが、また会ったときに必ず返すよ」

アスラはそういうが

「いえ。もう結構ですよ。

かなり色々やってもらえて助かりましたし、アスラがいなかったら俺はこの街に来れなかっただろうから」


「そうか・・・これを受け取ってくれ、これで武器を買ったり宿屋で泊まってくれ。」


アスラは金色に光る硬貨を俺に十枚渡してくる


「これは?」

「これはこの世界の金だ。

これを出せば宿屋に泊ったりすることができる」


「そうなんですか。

本当にありがとうございます。」


「お前のことは王国に報告しようかと思ったがやめておくよ。

でも、冒険者になるのならすぐに王の耳に入りそうだがな」


アスラが笑いながらそういう


「着いたぞ。

ここが冒険者ギルドだ。

ではこれでお別れだな。

また会おうタクミ!」


「はい!また会いましょうアスラ!」


俺たちはギルドの前で別れアスラはギルドの奥に俺はギルドのカウンターに向かう


「いらっしゃいませ!

どのようなご用件でしょうか?」


緑色の綺麗な髪の女性が話しかけてくる


「あの・・冒険者になりたいのですが。」


「冒険者登録ですか?」

「はい、これを渡せって言われたのですが」


俺は懐からアスラに渡された封筒を渡す


「拝見しますね」


ギルドの店員は手紙を開け中身を確かめる


すると店員は驚いたような顔をし、俺の方を見てくる


「あの・・これはどなたから?」


「え?アスラからですけど・・なにかまずいことでも書いていました?」

「いえ、そういうことではないのですが、あのアスラエル様が推薦状を書くなんて・・・」

「アスラって有名なんですか?」

「有名なんてもんじゃありませよ! 

この街の人にとっては英雄のようなもの!

冒険者の憧れです!!」


ギルドのお姉さんはすごい剣幕で俺に言ってくる


「あのアスラエル様に認められる方がいるなんて、いえ・・・

何の問題もありません。

アスラエル様本人のもので間違いありませんようですし

特例で試験なしの冒険者登録とさせていただきます。

それに伴い、本来ならEランクからのスタートなのですがCランクからの登録とさせていただきます。

登録を行いますのでここに名前と血を一滴流してください。」


ギルドのお姉さんは紙を一枚俺に差し出す。

「あの俺、字が書けないんですが」


「そうですか、なら代筆しますのでお名前をお言いください。」


「相川 拓海です」


「アイカワ・タクミ様でよろしいでしょうか?」


「はい。間違いありません。」


「では、ここのどこにでもいいので血を一滴」


俺はお姉さんから手渡されたサバイバルナイフのようなもので手を切り血を流す


「はい、いいです。

少し待っていてくださいね。

カードに情報を入力するので。

冒険者カードの説明はいりますか?」


「お願いします」


「冒険者カードには持ち主の血を流すことで血に含まれる魔力を登録し、本人の証明書だけではなく持ち主の力を測ることができます。

これはステータスといい、特殊魔法に指定されている魔法です。

本人がカードに魔力を流すと見れる仕組みになっています」


以上がギルドカードの説明です

他にわからないことがありましたらお聞きください」


とお姉さんは言いながら俺にカードを差し出す


カードは薄い青色をしている


「はい。これであなたは今日から冒険者です。

冒険者のルールを聞きますか?」


「はい」


「冒険者は命を賭ける仕事だからこそ他人に命を助けられたときは必ずその恩に報いる。


というのが冒険者のルールです」


「これだけですか?」


「はい。これだけです。

他に質問はありますか?」


「あ・・はい。

あのEとかCってなんですか?」


「それは冒険者のランクです。

これはEからSSSまであり、上に上がるほど冒険者ギルドその冒険者に信頼を寄せているかを示すものとなっています」


「信頼ですか・・・?」


「はい。

上に上がるにはクエストをこなすことで上がります。

Sランク以上の冒険者は国に認められ、英雄とよばれるように人が多いです。

ちなみにアスラエル様はこの街で唯一のSランク冒険者となっています」


そうなんだ・・・

強いと思っていたがSランクなのか・・・


「クエストってのは?」


「クエストは国や人からくる依頼のことです。

Cランク以上の依頼は強力な魔物の素材や討伐が主な依頼内容となっています。

稀に魔物の群れが街を襲ったり、最強種のモンスターや魔族が街を襲ったときはギルドが依頼をだし冒険者を集めることがあります。

依頼は危険が大きいほどもらえる報酬が多く。

失敗が続けば最悪冒険者をやめていただくことになるかもしれないので気を付けてくださいね」


そうなんだ


「最後に、この街の宿ってどこにあるのか教えてもらえませんか?」


「宿はこの近くっていうとすぐ隣の癒しの宿って言うところですかね

ここから出て右手の方です」


「ありがとうございます」


俺は挨拶をし、カウンターから離れる


「では、気を付けていってらっしゃいませ」


ギルドのお姉さんは頭を下げながらそういう


俺はお姉さんに教えてもらった宿屋に行くためにギルドを出ようとする途中

カードを思い出し、アスラがやっていた手に光を集めることを真似してみる


体の奥から何かが出てくる感覚を覚えながら手の平に意識を集中させる

するとカードが光だし表面に何かが映りだす。

それを触ってみると、文字がカードから飛び出てくる

飛び出してきた文字はなぜか日本語でこう書いてあった


名前:相川 拓海


ステータス

力:756235

防:923302

魔:1000000

知:987855

ギフト

:異世界からの迷子


・・・・・・・


ステータスに書いてある数字が大きいのか小さいのかわからないけど

ギフトのところに書いてある異世界からの迷子って何?


・・・・・・・・え?俺って迷子なの?





俺がこの世界に来てから2日たった今、自分が迷子だということに気づいた

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