プロローグ
一人でも見てくれる人がいたらうれしいです
子供の頃、学校で自分の夢について話す機会があった
子供のころの夢はヒーローになることで
弱い人を助け悪い人を懲らしめる。
そんな大人になりたいと思っていた
けれど年を重ねるごとにヒーローなんてこの世界にいないことに気づく。
ヒーローがいるのはテレビの中や漫画の中にしかいないと知り、
自分は決してヒーローになれないと思い知る
他人よりも自分を優先する
そうしなければ生きていけない世界
俺はそんな世界に嫌気が差していた
自分の未来に興味が持てなくなっていた
いつしか俺は夢を諦め、明日を諦め生きていた
同じことの繰り返し・・・同じ明日の繰り返し・・永遠に続くかと思われる毎日を過ごしている
ただ・・・今日は何かが違った
なにか?・・と問われればそれはわからない
朝、目が覚めて顔を洗い学校に行く
学校に入った瞬間体がズッ・・・っと重くなる
思わず地面に膝を付け頭を下げる
数十秒と思われる時間で体が元に戻る
・・・・・いや
さっきよりも軽い
俺は立ち上がり教室に向かおうかと前を向くとそこには木がある
あわてて一歩下がり周りを見回す
そこにあるはずの学校がなくなり、登校していた学生もいない
なぜ・・・?
白昼夢でも見ているのか?
そんなこと考えが頭を巡る
自分の置かれた状況を理解できず、その場で立ち止まっていると近くから犬の遠吠えのような声が聞こえる
「アオォォォォン」
あわてて周りを見回すが何もいない
気のせいかと思い、とりあえずこの森のようなところから出ようと思い、歩き出そうとするとまた
「アオォォォォン」
犬の声がさっきよりも近くで聞こえる
後ろを振り返ってみると、そこには犬のような・・けれども犬とは違う生き物がいた
毛並みはくすんだ白色で口からは獰猛な牙を生やし、足には巨大な爪が生えている
オオカミ・・・そう、狼だ
図鑑でみた狼の姿をした生き物が俺の目の前にいる
なんで狼がこんなところに・・日本の狼は絶滅したはずだろ!
「グルゥゥゥ・・・」
狼は口から涎をこぼしながら少しづつ俺との距離を縮めようとしてくる
俺は狼から逃げるために狼を見据えたまま後ろに下がっていき
ダッ!っと狼がいる方向とは逆の方向に走りだす
狼は走り出した俺を追いかけるように走りすぐに俺に追いつく
狼はその勢いのまま俺に噛みつこうとしたためそれを横に避けると狼は俺が避けたためそのまま木にぶつかりドンッ!という音とともに倒れ、起き上がらなくなる。
どうやら今の衝撃で気絶したようだ
狼が起きないうちにこの森から抜け出すために俺は走り出す
自分がなんでこんなところにいるのかわからないが、今はこの森から抜け出すことを考える
こうして俺の異世界冒険譚は始まった