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夜迷いの森の魂虫

「ひぃっ…此処虫パラダイスだよぉぉ」


私は一目散にカケルを抱き締めてクオリにくっ付いた。


虫共は格の違いが解るのか、カケルとクオリを嫌がるのだ。


でも私単体で居ると襲ってくる。


カケル曰わく、魂虫は基本的に魂に触れて孕むらしい。


なので基本的に性別はないらしい。


しかもいろんなものを取り込んでいくので、よくある擬人化とやらも出来る個体なんかも居るらしい。


なにその無駄設定!


「もっと先をいった性教育も必要かとおみょっ!?ひはいれろおひゃいはふぅっ!!」


まあよく伸びる餅だこと。


このまま引きちぎって食ってやる。


そういえば餅といえば…シザリオンが初めて餅を食べた事を思い出すな。


黒ごまおはぎを虫団子だと思って嫌がってたのを無理やり食べさせたら、恐ろしい程に嵌りやがったんだよね。


ヴァーデはどら焼きが大好き過ぎておはぎが目に入らないみたいだけども。


ゆっくりと嘆きの谷の下に広がる森…通称夜迷いの森を歩いて行く。


魂虫の住処だけあって、獣道なのが辛い。


「リジェロ、他の道はないの?」


名前を呼んだだけなのに鼻血を出された。


そしてぶるぶると墓石に足を突っ込みかけた爺さんみたいな動きをした後に、座り込んで拝まれた。


「俺…いや、わたくしの名を呼んで下さる度にわたくしは!わたくしは感涙に咽び泣きそうです!」


え、なんか一人称変えたぞ此奴。


幸せそうな顔で神に感謝しつつ靴に口付けしてきたリジェロに、私はこのゲームに入って一番の危機を感じた。


やるな…リジェロ…


無害だとばかりに思っていたのに、致死量の神経毒を含む人畜有害であった。


何時もより更に念入りに気持ち悪い行いをしているリジェロから視線を反らしつつ、森の奥の奥へと進んで行く。


成る程…障気らしきもの…多分毒かな?それが辺りを覆っている。


まあそれは王子以外は大丈夫だろうけれども。


取りあえず浄化魔術を使ってあげると、無言で苦痛を訴えていた王子が穏やかな顔になった。


死んだ!?


あ、いや、普通に生きてるや。


王子は大分楽になったとはいえ、まだまだ辛いようだ。


ぐたりと座り込んだ王子を、私が姫抱きした。


そしたら凄い速さでリジェロに取られた。


なにリジェロ…あなたも王子を姫抱きして辱めたかったのか。


ならその光栄な役目をそなたに譲ろうぞ。


脳内で勝手に推測し、 納得した後に親指を立て脳内ではやし立てた。


何も気付かぬリジェロはキリッとした表情で王子を荷物のように持ち上げ、荷物扱いされてる王子は不安げに私を見ていた。


「リジェロなら王子を任せられるな(嫌がらせする的な意味で)」


「光栄でございますっ!」


素直に喜ぶ彼に、青いな小童めと思った。





更に更にと進んだ場所にて、明らかに怪しい少年が立っていた。


見た目はとても愛らしい五歳児で、凄まじくクオリ君に似ていた。


「攻略対象で御座いますね」


カケルがとんでもない事を言いやがった!


あれどう見ても五歳児!犯罪だし私はショタに興味はないんだよ!


「大丈夫で御座いますよ。あれは見た目はショタでもアッチの方は大人で御座いますから」


そんな心配してないし、人の心を読まないで欲しい。


カケルに言っても止めないとは思うが…言うのはタダだ。


いや、思うのは、かな?


まあどっちでもいいか!


そのショタの眼前にまで来てしまって、私は困った。


進路方向はショタの居る一本道しかないのだ。


何せ唯でさえちょっと狭い谷底の森だし、よく見ると更に深い崖があるし。


地獄に繋がってそうで怖いな此処。


恐々とショタに近寄って行くと、ショタは私を見て顔を輝かせた。


凄まじく嫌な予感がする…!


「妾はそなたを孕ませたいと思うのじゃ!所謂一目惚れをしたのじゃ!」


…なんかどっかで聞いた覚えあるような。


気の所為かな。


「ちなみにアレ、擬人化した魂虫で御座いますからね」


「なん…だと…」


「私、そろそろ凛子様のハーレムに擬人化を取り入れたかったので御座いますよ」


仮とはいえ婚約者が照れながら言う科白じゃないと、私は思うのだけど。


彼はきっと違うのだろう。


何せ神様だしね。テレビの前で仏像と化すニートに見えるけど。


それにしてもいきなり孕ませようとするショタが魂虫か…


……あれ?


私、変な奴にしか好かれてなくね?


きっと気の所為だろう。


いや、気の所為に違いない!


ハーレムとやらが人外ばっかな気がするのは…っと、ヴァーデと天使さんと妖精さんを忘れてた。


参ったな…女の子もまともな奴いない気がするぞ☆


カケルと小さく喋った後はずっと黙りこくってる私にじれたのか、ショタがズイズイズイと近寄って抱き付こうとした。


しかしそれはクオリによって失敗に終わる。


抱き付こうとして阻まれ失敗し、抱き付こうとして阻まれ失敗しを繰り返し、ショタはとうとう泣き出した。


おろおろとして慰めの言葉をかけようとして「ショ」だけ言えたが、ショタの被せるような「弄りたかったのに」というぼやきで続きを言えなかった。


「凛子様解っておりますか?相手は魂虫、魂に触れると孕むので御座いますよ?」


だからなんなんだその設定!どっちが母親かわかんねーじゃねぇか!!ていうかなんで擬人化のショタを攻略対象に入れちゃうんだよカケルのオタンコナス!


…そしてそういう人の嫌がるのだけきちんと残すシカクは絶対一発殴ってやる!


絶対!

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