高級食材な同居人
「おはよー!たべて!」
「何故いる!いらん!」
「一緒に、君と住む!」
お玉を持った白い変態は、にこやかにそう言った。粗末な組み木の小屋には彼が持ってきたのか妙にハイテクそうなシステムキッチンがあって、そこで鍋をかき混ぜていた。メニューはオムライスと赤いサラダとトマトスープと、不安になる色ばかりだった。
サーチを使うと、不審な物(クオリの肉片等)は入ってない。
「まさか…デザートまで作った?」
「ホットケーキ!ぼく作った!」
ドンと出されたホットケーキは、何故か赤かった。白いデロリとしたタレが掛かっていて、ちょっと美味しそうには見えない。
無言でサーチを使った。
クオ(以下略)
その血はまるで練乳のように甘く中毒性が高いが、神に祝福を受けた存在には効かない
その舌は血のように赤く、上品な甘味がありつつも旨味と苦味が見事に調和しており、デザートにもメインディッシュにも向いている。しかし誰も食べた事はない
「…どうして食材に成りたがるの?」
戦慄を覚えつつも、彼に問うてみる。どうしてこうも食べられたがるのか…。私には理解出来ないけれど、これが魔族の愛情表現だと言われたらどうしようもないな。
「言ったの、お兄ちゃん。あいじょう示す、その方法…。ヤだった?ぼく、人間は良くわからない。だから、喜ぶ、と、おもって…た…」
ぽたぽたと大粒の涙を流すクオリからは、悪意なんか感じなかった。本心なんだろう。お兄ちゃん…つまりは魔王!!女体盛りだのなんだのろくな事をこの純粋無垢なやんちゃ子に教えてないようだ。
ぷるぷる震えるクオリを躊躇いつつも抱き締める。彼のお腹からくきゅ~んと妙に可愛い音が鳴った。…何も食べてないとかないよね?
「他の人は判然らないけれど、私は言葉が通じる生物を食すのは好きじゃない」
「ぼくおいしいよ?」
「美味しくても、私の倫理観が許せない」
うるうるしたおめめで見られても、嫌なものは嫌なんだよクオリ君。
「…それより、ご飯を食べようよ」
何か言いたそうなクオリを椅子に座らせて、ご飯を運ぶ。…1人分しかないなぁ。
「はい、あーん」
「ふぇ?いいの?」
オムライスの破片を乗せたスプーンを差し出すと、嬉しそうに食すクオリ。最後にスプーンを舐める。おい、このスプーン私も使うんだぞ。
半分こして食べたご飯は美味しかった。
誰かと食事するの…久しぶりだな。
「あのね、ぼくクオリ!君は?」
「(そういや逃げてばかりで名乗った事なかったな)荻原凛子」
「オギ・ハラリンコ?」
「変な所で区切らないでいただきたい。凛子と呼んで」
「リンコ!ぼく覚えた!リンコリンコリンコリンコリンコリンコ!」
【荻原凛子はクオリ・ヴォルトスと仲良くなった!】
【次の攻略に進みますか? YES NO】
【 により、YESが選択されました】