表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/109

潜む黒い影と□□

「面白そうだからさ、協力してあげるネ」


ころころと笑う少年に、青年は笑って返した。


「良いのですか?貴方がそんな事をして」


そう問う青年に少年は小さく「だって」と呟く。


「神界って詰まらないんだもん。其処にいる奴らも詰まらないだもん。ワタシを理解してくれないんだもん。こーんなに、愉しいのにサ」


何かをカチンと叩いて満足そうに微笑む少年に、青年は「調子づいたら足元掬われますよ」と溜め息を吐く。


少年は気にした風もなく「××は抜けてるから大丈夫だよ」と返した。


「それにさ、××だけが人間で遊んでも許されるなんて狡い!」


少年の睨む先には凛子達が映っている。


「ワタシだって遊びたい!もっともっと遊びたい!××だけ許されてて狡い!狡すぎる!」


青年はただ黙って話を聞いていた。


少年はそんな青年を見て「ノリ悪いな君は」と項垂れるも、青年はうすら笑いを浮かべるのみ。


「大丈夫だヨ。凛子…だっけ?手を出さないようにするヨ」


「信用出来ません」


間髪入れずに返された言葉に、少年は酷いとけらけらと笑う。


「うわ…〇〇から妨害が入った」


そう呟いて顔を顰めた少年に、青年は「ほら見なさい」と呆れかえった。


少年の覗き込んでいる画面にはエラーの文字が大量に並び、これ以上弄る事は出来ないと悟る。


ロックが掛かったかもしれない。


現在地がバレると面倒なので、直ぐに接続を切る。


暇になった少年は足をぶらぶらとさせて不満そうだった。


「××を早く消したいヨ翔。君だってそろそろ回復してきたでしょ?」


翔と呼ばれた青年は、ニタァと笑った。


「××は私が吸収するのです。アレでも元々は私の一部ですからね」


「抜くのも中途半端になっちゃったお陰で、かなり偏ってるけどネ」


「誰の所為ですかねぇ?」


「誰なんだろーねぇ?」


くすくすと2人で笑った後、暗くなった画面を見つめた。


そこにはもう映っていない、彼女に想いを馳せて。


「ワタシはまた、〇〇をからかって来ようかな?」


「貴方様は…〇〇様にまた何をさせる気なのですかねぇ」


「君みたいな面白そうな事だヨ」





エンカウントするモンスターが急にクリーチャーになった為に、私は引きつり笑いしながら剣を振るった。


「振り方が違いますよ凛子達!脇を締めて下さいませ!」


映像処理?なにそれ。

なんてPTAに喧嘩売ってるとしか思えないグロ仕様になったこのゲーム。

楽しんでるのはカケル君だけで、クオリに至っては「このタイミングでまた巫山戯るとか神様って阿呆なの馬鹿なの」と罵詈雑言ばかり出る始末。


思考が確かに翔お兄ちゃんとは違うなって思ったよ。

だけど思いやりの1グラムもない感じなのに善の塊だなんて言うもんだから、蹴ったり殴ったりして全否定しておいた。


私の翔お兄ちゃんを汚すな!


翔お兄ちゃんはな…翔お兄ちゃんはな…美味しいご飯をくれる良い人なんだ!


こんなんじゃないんだから!


「忘れていたようですが」


「それはアレだよアレ。すっごく健気な私は悲しみメーターがオーバーしちゃったからだよ」


あの時は私、悲しみの余り何も食べれなかった。


市太郎ですら私に触れないようにしてたんだから、よっぽどだと思う。


余りにも深い悲しみだったからか、翔お兄ちゃんの母親がカウンセラーを用意してくれたし。


今思うと翔お兄ちゃんの両親にとても残酷な事をしちゃったな。


翔お兄ちゃんの事は何も言わずに面倒見てくれてたし、最後は呆気なく死んじゃったし。


全く孝行出来なかった。


「その心掛けはご立派だと、私は思いますよ」


「カケル…」


「ですから私をもっと楽しませ…早く魔王を倒しに参りましょうね、凛子様!」


畜生!そうだよコイツ、こんな奴だったよもう!


一瞬でもときめいた私の馬鹿野郎が!


「婚約者になんて酷い攻撃をなさるので御座いますか!目潰しなど…恐ろしゅう御座います…!」


私の目潰し攻撃を華麗に避けたカケルに、クオリが「あのね、恐ろしいのは君の自己中っぷりだと、ぼく思う」と言いながら蹴りを入れた。


わあ…カケルがモンスターに当たった。


しかも倒しちゃった上にレベルアップの文字が出た。


クオリも加わって初めてのレベルアップなので、ちょっとわくわくする。

クオリはレベルいくつなんだろうか。


《Lv up

リンコLv50→Lv250

クオリLv8200→Lv8201

カケルLv$5*+→Lv*9%4》


「なにそれ…なにそれ!」


「リンコ、どうしたの?」


私がorzのポーズで項垂れていると、クオリがにこにこしながら近寄ってきた。


いま、まあ、うん。


「私の戦う必要性を問いたくなっているのだよ」


「あのね、リンコはすっごく必要!ぼくに必要なの!ずっと横に居て!」


私が戦う必要ないと思うの。


魔王なんかクオリが殴ったらパーンってなって直ぐ終わるじゃない。


王子様もパーンってしそうだけどねうふふ。


「うわーん!リンコがいじけちゃった!あのね、カケルの所為だから死ね!死んで!死んで下さい!」


「攻撃止めて下さいませ!攻撃止めて下さいませ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ