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××の遊戯の誘い

「ねぇ、カケル」


「おや凛子様。なんで御座いましょうか?」


メルヘンに過ぎる世界に佇み、私は叫んだ。


「なんだこれは!」


美味しそうなキノコのお家に、美味しそうな蜂さん…いやハチミツに、極めつけは小さな妖精サイズのカケルがその場にあった。


「ほら凛子様。最近凛子様は滅入る事ばかりが起きているので、お疲れで御座いましょう」


にゅっにゅっと可愛らしい動きで説明する仏頂面の妖精をむんずと掴み、ぶん回す。


「クエスチョンどこいった!いや、更に疲れさせてどうすんだ!」


「あーれー婚約者に酷いで御座いますわーハニー」


「棒読み止めろキモイ!」


むにーっと柔らかい頬を引っ張ると、てちてちと手を叩かれた。


うわ…カケルなのに和むわ…うわ…


「ぐすん。まあ取り敢えず、さあ、真っ直ぐ進むのです凛子様!」


「うん、おやすみ」


寝転ぶと、カケルは大慌てで「寝ると襲われますよ凛子様!」と叫んだ。


大丈夫大丈夫。


多分大丈夫、寝る。


そうやって寝転んで直ぐに、はぁはぁと妙な息遣いが聞こえてきた。


鳥肌を立てて見てみると、葉っぱ一枚の男性が仁王立ちしていた。


因みに今まで見た誰よりも王子様的な美形だ。残念な事に。


「…あ、あれは、なに?」


「モンスターで御座いますねっ」


「モンスター!?あれモンスター!?」


「そうで御座いますよ。早くしないと襲われますが…宜しいのでしょうか?」


はあはあ言いながらモンスターはじりじり弧を書いて近付いてくる。


起きていきなり始まったと思えばこれか!


昨日の会話でこれとかないわ!覚えてなくとも少しはしんみりしろよカケルさんよぉ!


取り敢えずモンスターに金蹴りすると、簡単に倒せた。


多分急所を突いたからだと思う。


「貴方様に躊躇いが見当たりませんでしたが」


「なぜ躊躇う必要が?」


「申し訳御座いませんでした」


何故か至極叮嚀に謝られたので、いけるかもしれないと思い「家に帰せ」と凄む。


だけども彼はもの凄くお手本にしたくなる程のジャンピンスライディング土下座をした。


「ゲームクリアまで帰れません」


「は?」


何ゲームなのかすら判然らないのに、どうクリアしろと言うんだろうか。


睨んでいると、彼は冷や汗をかきながら答えた。


「乙ゲーで御座います」


「は?」


「乙女用の恋愛戦闘ゲームで御座います…これは」


恋愛シミュレーションゲームはよく聞くけれど、恋愛戦闘ゲームは初めて聞いた。


内容を聞きたくはない。


でも、帰るにはクリアしなくちゃならないらしいし。



ああ、そうだ、カケルをぶっ倒したらクリアとかなるかな?


「なりません!私はサポートキャラクターのキュートな妖精さんですのでクリアにはなりませんよ!むしろゲームオーバーです!」


自分でキュートとか言いやがっただと…!結構図々しい!


「さあ、ゲームクリア…魔王に捕らわれた王子様救出の旅にれっつごーで御座います!」


「王子様救出!?本当になんのゲームよこれ!ていうか普通は逆じゃないの!?」


「だーかーらー乙女ゲームですって!先程のようなモンスターや魔王軍を倒しながら魔王城を目指し、魔王をぶん殴って捕らわれた王子様達を助け出すゲームで御座いますよ!」


複数形って事は何体も王子が居るの!?魔王何の為に王子を集めたの!?


「ほら、七匹揃えたら願いが叶うとか言いますでしょう?」


「何故そこでドラゴン〇ールネタが」


「早くしなければ王子様が石になってしまいますよ凛子様!」


なにそのカオスな上にやっつけなゲーム!すっごく気になるけど全くやりたくない!

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