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天は私に与えすぎ

「おはよう、柩!」


学校に登校して直ぐに、実に愛くるしい笑顔で挨拶をしてくる天使さんが下駄箱前にいた。


クオリにむぎゅむぎゅと抱き締められている私を見て若干眉間に皺を寄せるも、まるでクオリを空気かのように無視して爽やかな挨拶をしてきたのだ。


そしてそのまま挨拶のハグをしようとした天使さん。


しかし、クオリのアクロバティックな動きでハグをし損なった。


急な動きだったというのに、私は目を回すことはなかった。


体が異常に高性能だからだ。


そしてこれはほぼ毎日、恒例となっている出来事だからでもある。


意外とガッツのある天使さんだが、やっぱり天然チートには適わないようだ。


「このピエロ男!このピエロ男!」


「エンジェル(笑)、静かにして。ね?」


「な、名前で呼ばないで!!名前嫌いなのよ!!」


「良い名前じゃない、エンジェル(笑)」


「きょああぁぁ!」


奇声を上げて去ってしまった天使さん。


『どうして逃げられたのか、ぼく良く解んない☆』っていうキュルルンとした顔のクオリを見て、天使さんに合掌しておいた。


良かった…私、名前普通で本当に。


天使さんを潜り抜ければ、次は名も知らぬ女子2人に阻まれる。


「凛子ちゃん!見つけましたわ!」


「凛子…今日こそ俺だけの凛子にしてやる!」


なんだか段々馴れ馴れしくなる2人――以前街中で阻んだ女子2人組み――を見て、クオリが徐に法螺貝を吹いた。


今日は法螺貝か。


すると…今日もまた綺麗に足並み揃えた我がクラスメートが進軍してきた。


男女関係なくそれはそれは綺麗に足並み揃えて。


「只今参りました!閣下、御命令を!」


高校の制服が本気で軍服に見えてくる勢いの科白を口にしたのは、眼鏡がキュートなクラス委員長である。女の子である。

今は敬礼をしたまま微動だにしていない。


無駄話は勿論無い。


きっと他の学校のヤンキー達も怯む勢いだろう。


全員無表情である。あらやだ怖い。


「いつも通りにヤってね」


「Aye aye, sir!」


クオリの命令通りに、クラスのみんなが一致団結して作業を行う。


良かったね委員長。


貴方ずっとクラスが一致団結する事を望んでたものね。


でも私こんなの望んでなかった。


お願いだからもうちょっと柔らかく対応して欲しかったかな。





「という訳で、いい加減女の子達なんとかして欲しいんだけど」


お茶を飲んで寛いでいたカケル君が「私にも是非とも協力して欲しいことがあるので御座いますが…それでgive and takeというのはどうでしょうか?」なんて提案をしてきた。


生意気にも提案をしてきた。


グッと指で指示を送ると、良い笑顔をした柩がカケル君にミカンの汁をぶっかけた。


「目が!目がーー!!」


ムス〇状態になっているカケル君を見て、爆笑している柩さん。


くすぐるとかそんなんだと思ってたのになんて恐ろしい子…!


迷いが一切なかったわ!


突っ伏した状態でそれでも「give and takeを…望みます…とも…」としつこいカケル君。


それなら迷惑料を貰わないと割に合わないわよね、私。


カケル君が高速で目を反らし、それでも前言撤回はしなかった。


なんて面倒な…


「お願いで御座います!凛子様にしか頼む事が出来ません!お願いで御座いますからgive and take!御慈悲を!」


か、神に慈悲を求められるとは。


まあいいや。


ギブアンドテイクにしてあげるわ。


その代わり夕飯はピーマンの姿焼きな。


「ピーマンは嫌で御座います!ピーマンは嫌で御座います!」


うわ…大人がピーマンでマジ泣きしてるぅ。

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