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怖いものは嫌いだ

「もうやだこんなホラー」


嗚呼…またご飯を逃してしまった…


私のお腹が切なく鳴いたけれど、恐ろしい事に食べ物を胃に入れるのが苦痛だった。


成る程…これが狙いか!


美味しくご飯を食べさせないなんて、なんて恐ろしい敵なんだ…!


「そう言いながらリンコ、1人で二合も食べているのであるが」


「いいえ、リンコは普段四合は食べているのよ。それなのにグロいの見たからってそんなにちょっとしか食べれないなんて…ちゃんと女の子だったのね…」


「お姉ちゃんってぇ、太らないよねぇ~。今は姿が違うけどぉ、本当の姿は本当にスリムだもぉん!」


「リンコはね、どんなリンコもかわいーの」


……女三人集まれば姦しいというけれど、男が三人集まっても姦しいな本当に。

一生懸命にりんごを摺り下ろしてくれてるクオリは姦しくないけどね。


部屋の外に置かれた市太郎の家族達は、取り敢えず元に戻しておいた。


ぐちゃぐちゃなキメラ的なアレが逆行して人型に戻る光景は、もう見たくない。


見たら発狂する自信あるもの。


50万ペリカは掛けれるね。


ちらりと外を伺い見ると、ゾンビが彷徨いていた。


いつからこの街はバイオハ〇ードになってしまったんだろうか。


まあ、昨日の市太郎が消えてからだけどね!


黒いもやもやの目的は恐らくは私達の足止めだろう。


そう分かってはいても、4人とも迂闊に動けなかったらしい。


……私さっきまで気絶してたしね!


「よぉし!魔術をぱぁーっと使ってみるね!」


「わあ、リンコ頑張って!」


クオリの声援を受けて、何の魔術を使うか脳内で選択する。

ゾンビなら浄化の魔術!って思ったけど、ゾンビじゃなくてぎりぎりゾンビになっていない洗脳された生身の人間なようだ。

取り敢えずクリアという魔術を選択して、魔力を沢山込めてみる。


うーん…凄くお腹が空く。


輝く光の弾を発射して暫くすると、ゾンビもどきになってたご近所さん達は元に戻ったみたいだった。


「よし、出掛けるわよ!」


「ええ!」


「うむ、いざ正義無き奴らをぶち殺しに!!邪魔するものも全てぶち殺してやるのである!」


「わぁーい!みんなで、おでかけ!たのしーね!」


「おれ頑張るねお姉ちゃん!」


突っ込み所が2つあったけど、きりがないので無視をしておいた。


うん、大丈夫さ。


私にはカケル君がくれたなんでも吸い込む謎の瓶があるからね。


ボス戦なら楽勝さ!





「……うぇ…ぐぇっ…おえ…」


「大丈夫?リンコ…休む?」


「大丈夫さね…ふふふ…」


ヴァーデに優しく背中をさすられて、私はただただ咽せる。


うん、分かってはいたんだよ本当に。


ゲームだってボス戦に行くまでの道のりが大変だもんね。


だから覚悟はしてた。


けどさ………


「なんでグロいのこんなに!?」


そんな私の言葉に、クオリ君が「精神的苦痛を与えれるって分かって、味をしめちゃったんじゃないかな」と冷静な指摘をしてきた。


確かに私、グロいもん見た後は倒れてるもんね。

流石に倒れはしなくなってきたけども、こうして移動が遅くなってきたし。


それというのもアレだ、クリアの魔術から逃れたゾンビもどきによる、人間爆弾の所為だ。


ダイナマイト的なものを括り付けたゾンビもどき怖い。


それを平然とさせてくる敵はマジで怖い。


流石にトラウマになんぞこれは…おえっ…


ストーカー風味の精神攻撃にグロい精神攻撃…敵は私がそんなにも大嫌いなのか!?


ガキ大将による好きな子にはつい意地悪をしたくなっちゃうの♪テヘペロ☆という次元じゃないぞこれは!!


「本当に大丈夫なの?リンコ」


「大丈夫だってヴァーデ。クオリが背負ってくれてるしさ」


「リンコの吐瀉物くらい、ぼくうけとめるよ!」


頼もしいなクオリ君。

でもね、私だってヲトメなのよ。

流石にイケメン様の背中にゲロすんのはちょっと…嫌だわ。


まあ、ゲロするの自体食べた物が勿体なくて嫌だけど。


「んー…リンコ!黒いエクトプラズムのけはいがするよ!」



「わあぁ、キモイねえぇ!あれすっごくキモイよぉお姉ちゃぁん!」


クオリのビシッと指差しをした先を見て、柩が何故か嬉しそうにそう言った。

そういえばナチュラルにお姉ちゃん呼びしてんな此奴。

まあいいけど。


「うげ…スリーピーホ〇ウに出て来る木みたいだ」


血をたっぷりと吸い込んだあの木みたいに、鉄臭さをぷんぷんと振り撒いている。


……ゼ〇ダのあのデ〇の木みたいに生きている気配がした。


入んの、これ。


私入んの?


ちょっと心の準備させて貰ってもいいですかね。


「すぅーはぁーすぅーはぁーすぅーはぁーすぅーは…ふおっ!?」

がくんと何か得体の知れないものが作動して、よく判然らない所に跳ばされた。


それも…何故かあまり信頼関係を築いていない柩と2人きりで。


「わぁ、2人きりだねぇお姉ちゃん」


き、緊張感ないな此奴!


さあクオリ君!


今こそ君のチートが試される時だよ!!


ほらなんかよくいつの間にか私の隣に現れたりしてるじゃない!!


来てよ!!さあ!!


「2人きりだねぇ!」


やだぁあああぁぁぁ!!!!


柩と2人きりやだぁあああぁぁぁ!!!!


ヴァーデ来てよぉ!!シザリオンでも良いからぁ!!


クオリィィイイイィ!!!!

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