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凄く恐ろしい告白

「どうして…どうして…」


ぶるぶると震える少年は、携帯電話の小さな液晶画面をジッと見つめていた。

走った事により火照った体が汗を出し、それにより全身が急激に冷え込む。

その寒さで震えているだけではない様だ。


「ちが…違うんだ!違うんだ!違うんだ!!」


画面には同じ顔が情けなく此方を見返していた。

それを見たくもないと画面を叩き割る事で視界から消した。

涙がぽたぽたと零れ落ち、混凝土が濡れていく。

少年は茫然自失とした様子でそれを眺めていた。


ふと、眺めていた地面が陰る。


少年は陰を作った元凶を見やり、そして止まった。


「…なんだ、あんたか」


安堵からか漏らした声は、やけに辺りに響いていた。





私は今日、嫌な予感でいっぱいだった。

それも朝早くからだ。


きっと今日も大丈夫だと自分を励まして、朝から既に溌剌な三人組を見やってから新聞に目を落とす。最近の日課である。


それを横からひょいと現れたシザリオンが邪魔をした。

退きなさいよ外見三十路!


「首のない死体が発見された…であるか。ふむん…玩具の首を突き刺すとはなんと猟奇的で正義のない輩であろうか!我が輩許せぬ!こんな輩許せぬぞ!」


「そう言いながら胸揉む輩を私は許せないわ!」


取り敢えずシザリオンをぶん殴っておいた。

わあ…人って壁に突き刺さるもんなんだね。

てっきり漫画とかフィクションだけのリアクションだと思ってたわ。

でもつまんないから止めなよそのリアクション。


「シザリオーーン!くっ…ぼく、きみのこと忘れない!」


「あらあら」


賺さずクオリがシャベルで更にシザリオンを埋めた。

壁にめり込んでいた体は直ぐに見えなくなり、しざりおんと書かれた一個30円のアイスの棒を突き刺した。

それをあらあらとか言いながら止めないヴァーデ。


家の中に墓を立てないで頂きたい。家の裏庭の金魚の墓の隣りにしときなさいよ。


いつも通りのはしゃぎっぷりを見つつも、私はそろそろポストに届く頃であろう牛乳瓶を取りに行った。

風呂上がりには欠かせないものね、牛乳瓶。

靴を履き、ポストに近付く前に違和感に気付く。

これは…最近よく嗅ぐ匂いじゃないか。


鉄臭く普段と違って真っ赤なポストは、半開きになっていた。

我が家のポストは牛乳瓶が縦に三本横に七本は置ける位の広さである。結構大きいのだ。


そのポストなら大きい死骸も入れれるだろう。とても納得だわ。


度胸で開けてみたものの、私の思考は停止寸前になってしまった。


その大きい死骸はどう見ても最近拝見させて頂いたものに似ていた。


それが目を零れ落ちんばかりに開かせていたのだから、きっと年頃の娘辺りなら即失神するだろう。


其処まで考えてから、私は倒れた。無念である。





目が覚めたら辺りはもう赤かった。

もう夕方か。

夕方!?そんなまさか…そんな…


「クオリの昼ご飯を逃したなんて!!絶望的過ぎる!!」


「起きて第一声がそれであるか!我が輩、心配して損したのである…」


何故か項垂れるシザリオンが近くに居た。

あれ?生きてたんだ(笑)


「…我が輩はクオリの様に思考を読む事なんぞ出来ぬのであるが、今のは分かったである。我が輩を勝手に殺すな!!」


「ごめんご」


「謝る気皆無か!!」


憤るシザリオンをどうどうと宥め、倒れた要因を思い出す。

確か…そうそう、生首見ちゃったのよね。


「………生首」


「頭部ならばヴィヴァルディがおまわりさんに届けたのである。ジジョーチョーシュもヴィヴァルディがしたから大丈夫らしいが…ジジョー…んんっジジョウチョウシュとは何の事であるか?」


「ググれ」


パソコンを指差したらわかったと弄りだしたシザリオン。

パソコンはそんなに扱えて、何故に事情聴取は判然らないんだ!可笑しいぞお前!


そんなシザリオンを放置していると、ご飯を持ったクオリが部屋に来た。

今更だが誰かが私の部屋に運んでくれたんだね、ありがとう。


クオリのご飯を奪い取るように貰ってからがつがつと食べる。昼ご飯の分まで食べる所存であります!


何か言いたそうな顔のクオリに気付きジッと見詰めたら、何かをおずおずと手渡してきた。

それは赤く湿った紙だった。


おえっ…新鮮な血の匂いがする…


紙には真っ赤な字でこう書かれていた。


《凛子愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる》


もっと書かれているが、全て同じ単語だけなので省略する。

最後に《貴方の未来の夫より愛を込めて》と書かれている辺りに、私は盛大に鳥肌を立てた。

そしてとうとう巻き込まれた事に気付いた。


多分…いや、十中八九間違いない。


このレターを寄越した相手は連続殺人事件の犯人だ。


…ついでにプロのストーカーだ!

なによこの写真!昨日私がアイス喰ってた時の写真じゃない!変態!


ていうか私の写真まで同封してある時点で、お届け間違いじゃないのね………はあ…

クリスマスイブなのに血腥い話になってしまいました。


相手は本気のヤンデレです。


軽いヤンデレVS真症のヤンデレが今回の話なのです。


まあ、こんなの書いていながらも暗い話にする気はないのです。

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