〇〇は女の子好き
煌びやかで荘厳なクリスタルで出来た大きな城の中。
趣向を凝らした美しい家具の並ぶ部屋の中。
儚い美しさを具現化したような美女が寝具に腰掛けていた。
その美女は容貌を赤く瞳を潤ませて、視線を下に向けていた。
美女の手の中にあるクリスタルの球体。
その球体に映る少女を見て、美女は花が咲いたように微笑んだ。
「うほっ!相変わらずかっわいいんだから凛子ちゃん!!もうこの見えそうで見えないミニスカとニーソの間の聖域とかタンクトップからチラ見してる横乳とか堪らねーー!!」
クリスタルの球体を持たない方の手にスルメを持ち、横には数本のビールが転がっている。
天使が此処にいたならば、凄まじい突っ込みを繰り出していただろう。脳内で。
儚げなのは見た目だけの女神は、近くに置いてあった冷や奴にがっついた。
女神らしい容貌が台無しである。
焼き鳥をワイルドに貪った後、その串で歯の間に詰まった食べかすを取る。
信じられない事に、これが女神の実態なのである。
ちなみに他の女神も似たような欠点があったりする。
天使達は思う。『ナニコレ…人間とはかけ離れている精神でないと神にはなれないの』と。
勿論、不興を買いたくないので思うだけであるが。
「男にあたふたして内心焦る凛子ちゃん可愛い~…げっぷ」
部屋の端に居る愛らしい見た目した女の子の天使は、そんな女神を見ないフリをしていた。
一応神々は初めて会う天使や魂にはらしく振る舞うので、其処だけは安心出来たといえる。
まあつまり。プライベートで会うような間柄にならない限り、神々の実態を知る者は少ないのである。
女の子の天使は護衛に配置されて早一週間。遠い目をするのがデフォルトになりつつあったりする。
女神はそんな天使の事も内心可愛いと悶えていたりする。
(やだなにこの上司!まじ危ない!)
突然怖気が走った天使は、出来るだけ見えないように体を縮こませた。
実に涙を誘うような努力であるが、女神にはそれが余計に可愛く思えて仕方なかったりする。哀れ天使。
「次は何しようかな~♪」
るんるんとクリスタルに映るものを見ていると、ある事に気づいた。
「これ…まさか…」
何度見ても見紛う事のないものが其処に、鎮座していた。
「うおー!もしやこれアレが出来るんじゃない!?」
女神は楽しげに言った。
「凛子ちゃんの家の周辺に超能力付加!超展開バトル勿論ポロリもモロリもあるよ!ぐふぉほほほ!!あたしわっくわくしてきたぞ!!」
(凛子ちゃんとかいう人全力で逃ーげーてー!)