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想像と違くないか

破壊神…


詳細は不明らしいが、兎に角破壊の権化である為に神に封印されたと云われる代物だとアロンソは言う。


破壊を愛している…そんなやべー神を信仰する者も居るようだ。


あー、いるいる。


地球人にもそんな人いるわー。


破壊神が復活したら星が滅茶苦茶になるのにね。

自殺したがり屋さんめが。





という訳で、幽霊屋敷に来ましたドンドンパフー。


「…ずいぶんと私の想像した幽霊屋敷とは違うわね」


そう漏らしたヴァーデと同じく、私もこれが宮殿だと言われたら納得するけど…幽霊屋敷と言われたら激しく違うと言い返したくなるよ。


それくらいきんきらきんきらした屋敷でした。


幽霊の分際で生意気だ!


地球人のサラリーマンのお父さんが頑張っても買えないような屋敷を陣取りおって!


「幽霊屋敷、知ってるの?勇者(笑)は」


喧嘩売ってるとしか思えない言い方で訪ねるクオリ。

対するヴァーデは壮絶な表情(なまはげに似てる)で白眼みつける。


慌てて止めるアロンソの魔族のトップというより中間管理職的な気遣いのしように、私涙がほろりと流れてしまいそうになるわ。

見てるだけだけどな。


「此処に凄い御仁が居るのか…我が輩、少々緊張してきたのであるっ」


人という字を書いて飲むシザリオン。


有名人に会うわけじゃねぇんだから落ち着けよ。


私は少なくとも出会い頭にぶん殴るつもりだ。

手間を掛けさせやがってるんだから、顔の造形が前衛的なアート状になるくらいぶん殴っても許される筈。

いいや、許されない筈がない。

そう決めたんだ!


屋敷の扉を開き、中に入る。


するとお辞儀をする透けた人が居た。


「ぎゃぁああ!!!!」「いやぁああぁ!!!!」「ぬおぉぉ!?」「ひょわっ!?」「おお…」「きゃっ」


各々が各種様々な悲鳴を上げて、その透明な人と対面した。


お辞儀をされたら仕返さない訳にはいかない。


私がお辞儀を返すと、幽霊は微笑んで消えた。


そして扉が勝手に閉まった。


「どうしましょう…帰れなくなっちゃったわ」


扉に鍵が掛かったのか、ヴァーデが開けようとしても開かなかった。


「蹴破れば良いじゃん」


そう言って躊躇なく蹴破ろうとしたら、扉が思いっきり開いた。


なんだテメェ。


壊されるのは嫌ってかああん?


なら最初から閉まんなや。


「壊さずに済んで良かったわー私暴力嫌いだものーだものー」


「嘘だ…あの目はヤる気満々だった…」


「そんな馬鹿な」


「ならどうして高速で目を反らすんだ!!」


アロンソは突っ込みのプロだと思った。





「恨んでやる…」


壁から出てきて絡んでくる女を掴んでぼこす。


「妬ましいぃぃい…」


煩い男を思いっきり蹴り倒す。


「ひ…」


人の顔を見て怯える男を追いかけて殴りつける。


沢山出てくる透明な人達は、あのお辞儀した紳士と違って失礼な人ばかりだった。


「ここの世界の人って幽霊をぶん殴れるのかしら?」


「ううん、リンコだけだよ。ぼくでも無理」


「我が輩も無理であるな」


「自分も出来ないな」


何か外野が喋っているが、私は無視を決め込んだ。


「どうして私達に物理的に触る事が出来…ぎゃあああ!!」


掴んでは殴り掴んでは殴りを繰り返す内に、透明な人達は私達の前に姿を現さなくなった。

ちっ…私の憂さ晴らし相手がいなくなったか。


「本当に凄いわリンコ!流石は私のリンコ!」


「違う!ぼくのリンコなの!リンコが凄いのは当たり前!だって!リンコだもの!」


「クオリが怖いクオリが怖いクオリが怖い…あれが部下に気分で鬼のような仕事量を押し付けるクオリなのか?本当にクオリなのか?」


「ぬう…賑やかであるな!」


なんか後ろの人達と関わりたくないや…





「此処が最後の扉…此処に犯人が居るかもしれない」


禍々しい扉の前で、立ち止まる。


ごくりと喉を鳴らして唾液を飲み込むと、扉をゆっくり開けた。


「待って居りましたよ、皆様方。私のなま」


バタンと扉を閉めた。


なんだあの美青年。


私の幻覚ね、きっと。


もう一度扉を開けた。


「…待って居りましたよ、皆様方。私の名前は××!破壊神を蘇らせ、この世を征服しに参りました!」


…そ…そんな…ばかな…私の想像にかすりもしないなんて………

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