封印されし破壊神
「紹介するね。これ、アロンソ!ぼくのお兄ちゃん!」
クオリにこれと指を差されてびくりとする魔王アロンソとやら。
どうやらお兄ちゃんはクオリが苦手のようだ。
何故か青ざめていた。
「我が輩はシザリオン!此方におわす御方はオギハラリンコ殿である!んでそこのは勇者殿」
何故かシザリオンが自己紹介を張り切ってやった。
ヴァーデの扱い酷いなおい。
「魔王さん、何があったのよ?酷い有り様だけど」と言えば、アロンソは「恐ろしい男が来たのだよ」とガクガク震えた。
…魔王とも在ろう者がみっともない!
全国の魔王好きに謝れ!!
それにしても恐ろしい男か…
三つ目でオーガの如き体型をしていて首は八つで尻尾が三本で角が四本ある異形の怪物を想像していると、魔王が呟いた。
「全体的に黒くて目が鋭くて素早くて何処か神々しい男だ…」
発光しながらゴキブリさながらの動きをする、三つ目でオーガの如き体型をしていて首は八つで尻尾が三本で角が四本ある異形の怪物を想像した。
なにそれこわい。
「きっとリンコ、その想像違うと思う」
「はっ!?何故私の考えてる事がお分かりになったんだ!!」
「宰相に、不可能は、ない!」
マジかっけー!パネェなクオリン!
人間側の宰相も凄い所あったりするのかな…例えば目からモヤシを生やす呪いを掛ける事が出来るとか。
「なにそれこわい」
クオリは何故か恐れおののいた。
ていうかやっべ…話が脱線しちまったよ。
「ねえ魔王。その男は何をしに魔王城に来たか解るの?」
ヴァーデが妖艶な動きでそう問いかけると、ややヴァーデから離れて「解らん」と答えた。
そうだねアロンソ。
ヴァーデの今の外見はどう考えても男だもんね。
ちょっと怖かったんだね、クオリに似た雰囲気だから。
それにしても…その侵入者の男はいったい何者なんだろうか。
どうも人外のようだが…よくわかんねーや。
「例の男ですか。…あの幽霊屋敷に行ってしまいましたが…何をする気なんでしょうかね?」
ぶるぶると震える魔王の部下がそう言った。
現在地は男が向かったとされる魔王の城の宝物庫。いや、この発言からして向かって来た事は確かか。
どうやら男は、何かを持って幽霊屋敷という物騒な所へ行ってしまったらしい。
「何を持っていった!?」
何故かとても慌て出したアロンソに、部下は青ざめたまま答えた。
「破壊神を封印した魔石です」
わー
なんだか名前からして物騒ねー