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鸞翔鳳集は動く?

「――所でさ」


凄く今更過ぎて忘れていたけれど、とても重要な事を思い出した。


「魔王を倒しに行かないの?」


「「あ」」


勇者組の二人が揃って忘れてたという顔した。





「でもほら私、リンコと違って魔王を倒すなんて無理だわ」


「勇者様が無理なら我が輩はもっと無理なのである」


「なら、ぼくが、魔王倒す」


ギョッとした顔でシザリオンがクオリを見つめるが、気にせず鼻歌をするクオリ。

宰相による下克上?なんだか魔王が可哀想になる予感がする。

逃げて!魔王逃げてぇ!


「いや白き宰相よ。貴様は魔王側ではないか!!」


シザリオンのそれを聞いたヒメコが「あらそうだったのじゃあころしていいのね」と、片言で仰った。


「殺す?ぼくを、君が?」


ハッ!(嘲笑)そんな感じに吐き捨てた。

ヒメコはそれに対して親指を立てて首をかっ切る動作をしてから、下に向けた。

なんだか前より仲が良くなっているようで何よりです。

…ほら、喧嘩するほど仲が良いって言うじゃない。私はそれだと盲目的に狂信者並みに信じてる。


「二人が死んだら私は悲しいな」


「「リンコが悲しむから止める」」


禍々しい武器を仕舞って抱き付く二人。ほぼ同時だった。


「うむ。よく調教された下僕であるな!」


「止めろばかてめぇシザリオン!私は下僕なんか要らない、私が欲しいのは友達(という名の都合の良い人)だけだ!」


「リンコは俺様けいであったか!」


何処で覚えてきたそんな単語!いま茶を吹き出し掛けたじゃないか!


「冗談は兎も角さ、本当に倒しに行かなくて大丈夫なの?特にシザリオン」


そう真剣になって言うと、シザリオンは「大丈夫なのである」と即答した。

そして直ぐに「根拠はないがな!」と無駄にサムズアップして言う彼に、私は痺れた憧れた。

凄い!私絶対あんな大人になりたくないよっていうくらい素敵だわ!勿論良い意味で!


「考えなしなだけじゃねぇか!!」


スリッパ(就職先はトイレ、職歴一年のベテラン)でスパンと殴る。

何故か空の彼方へと吹っ飛んでいったのを見て、そういや私って全能力チートだったのよねって思った。


「まあ頭まで筋肉な阿呆は置いといて、ヒメコは大丈夫なの?」


そう問うと、ヒメコはそわそわした様子で私を見つめた。

なに?なんかようか?


「ヒメコじゃなくて、ヴィヴァルディ…は長いから、ヴァーデって呼んで。私の本名なの」


もじもじしながら言うヒメコ改めヴァーデ。

妙に格好いいな本名!何故に仮名をヒメコにしたんだ!


期待に胸を膨らませている様なので、仕方なく「ヴァーデ」って呼んであげる。

花を散らして喜ぶヴァーデ。

…もしや日本人は私だけか?私だけなのか?


「ヴァーデは魔王を倒さなきゃ帰れないとか、弱体化してくるとか、何かペナルティが有ったりしないの?」


「私を呼んだのはクソ野ろ…神様の野郎だから、そこの所は大丈夫だと思うわ」


神に対する負の感情が隠せてないよヴァーデさん。

確かに私も嫌いだけどさ。


「帰れなくて良いわ。私、リンコと離れるのは悲しいから」


そう言ってくれるのは素直に嬉しい。例え君が神を崇拝する邪教徒的な眼をしていてもね。


静かに話を聞いていたクオリがずいと身を乗り出した。

その顔はとても怖い。

微笑んでいるのに目が笑ってなくて怖いとはよく聞くが、心から喜んで微笑んでいる様子なのはとても怖いと思う。

神の奴がお兄ちゃんを殺そうとしている人間に力を貸しているかもしれないという内容の話なのに。


クオリは微笑んだまま言った。


「ぼく、神殺そうかな」


「話をややこしくしないでクオリ君。ぎゅってしてあげるから」


「え、本当!ぎゅってして!ぎゅってして!」


本気の目(殺意)が怖かったです。


「神を殺したクオリを殺したら一石二鳥よねふふふ」


お願いだからボソッと恐ろしい事言わないでくれ!

ヒメコ

本名はヴィヴァルディ・サヴォイア

本名が嫌いというよりも両親が嫌いで、日本で発売された乙女ゲームが大好きだった彼女。

病んだ思考で「人を殺せばトリップ出来るのかしら」とか思って本気で実行しようとしてたから黒い人に選ばれたという裏設定。


結局、愛してくれるならそれが女だろうと構わなかった人。


リンコはうっすら気付いてましたが、男体化のスキルの説明が“恋愛感情が高まると~”と書いてあるのに対して、彼女が男体化してたのはリンコの前だけ。

つまり、恋愛感情を抱いてはいなかったという。


憎しみのベクトルはリンコに向かずに黒い人に向きました。自業自得ってやつだね!

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