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塩胡椒は基本です

とても険しい谷間に私は居住を移した。改造した洞窟内はとても快適だ。

何ヶ月か経ち、いつも通り捕まえた獲物を持ち帰宅してみると、洞窟内に良い匂いが漂っていた。


「いや、まさか」


嫌な予感がしつつリビングに向かうと、白いエプロンがフリフリわさわさと動いていた。それはお玉と茶碗を持ったあれだった。


「お帰りなさいまし」


「帰って下さいまし」


ひどい!と喚く男…クオリを白眼み付ける。何故か包帯だらけだった。これは所謂コスプレ…包帯男なのだろうかと思う程の包帯塗れだった。

ふと、卓が気になり見てみると、ふんわりと良い匂いのする肉があった。恐らく塩胡椒で焼いただけの肉に、味噌汁と漬け物。それにチーズの乗った鮭(っぽい魚)がバターと焦がし醤油の良い匂いをさせていた。盛り付けられたサラダは彩りがよく、上にクルトン(っぽいもの)とやや黄ばんだ白い液体が掛かっている。フリルのたっぷり付いた可愛らしいエプロンさえ見なければ料理上手の主夫の鏡のよう。


「貴様が作ってくれたのですか?」


「そう。家事の出来る男、高い。ポイント」


ふんわりと胸を張り、お玉をくるりと回した。彼の服装が一気に変わる。軍服に似た白いロングコートに白い軍帽的なものに中のYシャツまで白くズボンすら白い。靴も靴下も髪も肌も白く、唯一瞳だけが赤く爛々と輝いていた。美貌と奇妙な片言喋りも相まって明らかに怪しい外国人だ。けれど、きっと日本の秋葉原辺りなら人気になれるかもしれない。主にコスプレイヤーの方々に。


「確かに高いけど…」


「たべて!たべて!」


君から逃げた筈なんだけどなぁという言葉は噤み、椅子に座る。其処で幸運な事に、自分は彼から逃げた理由を思い出した。


(原材料をサーチしてみようか)


一番怪しげな肉にサーチする。肉の名前はトルリルとかいう動物の肉で、ルリル類のリルの一種らしい。表示した画像を見る限り、恐らく鳥の一種だろう。普通に美味しいと思う。食べようと手を伸ばした所で、データがもう一つ重なって見えなくなっている事に気付いた。ひょいとトルリルのデータを退かす。


クオリ・ヴォルトス

魔王類

魔王科

誰も食べた事はないが、非常に美味しい肉をしている


「間に合ってます」


テレポートで逃げた。

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