〇〇を呼び出せ!
「で、どうしたら来ると思う?」
ヴァーデに言われて、私は即答する――前に、
「女の子で釣れば来るよぉ」
いつの間にかその場に居た柩が答えた。
あれ、そういえば此奴ちょろちょろと消えてたような…気の所為か。
全員の視線が私に釘付けになり、そして首を振られる。
何故だかとても傷付いた。
「…ていうか女は私しか居ないね」
お色気ポーズして誘い込めば掛かるかな…
いや、ダメだ。私はだっちゅーののポーズぐらいしか知らない。
流石にそれはない。
クオリも力無く横に首を振り、更にそれはないねと思念を飛ばして念入りに否定された。
なら、女顔であるクオリが女装…
そこまで考えた辺りで、クオリがすっごいスマイルになった。
凄すぎてみんな腰が抜ける。
ていうか怖い。
口角が恐ろしいぐらいに吊り上がり、それは笑顔というものではないように感じられた。
「ぼくもぎぶあんどていくがいいなー?ねえ、ぎぶあんどていく、いいよね?」
「ごめんなさい許して下さい」
態とひらがなで喋られるのマジ怖い。
仕方なく、私がなんとかするしかないようだ。
「なにかしら、それ」
「まな板の上のコイであるか?演技が上手いのである!」
「わあ、リンコ女豹のポーズうまい!」
クオリ君が正解を言ってくれたけれど、しかも誉めてくれたけれど、端から見ると鯉がじたばたしているように見えるようだ。
だってこのポーズ胸が苦しい。
暫くそれでマルちゃんを釣れそうなことを言うも、現れなかった。
ちょっと傷付いた。
「は、破廉恥でございますっ!」
水着姿でエプロンして料理しつつ尻を振っていたら、カケルに毛布でくるまれた。
しかもお玉とか取られた。
取り返そうとするとメッてされた上に小さい子を見るような目をされたので、大人しくしておいた。
私はいたく傷付いた。
「来て貰ってごめんね、天使さんと妖精さん」
「良いんですよ何時でも呼んでくださっても!」
「俺も何時でも来るぜ!凛子の為だからな!」
それなりに仲良くなった女友達を使って、試す事にした。
これで来ればいいのだけど…
「じゃあ悪いんだけど…早速…」
「おう!」
「はい!」
猫耳と尻尾を付けた天使さんに、犬耳と尻尾を付けた妖精さん。
高校の制服のお陰で、余計に卑猥なプレイに見えた。
これなら…イケる!
「マルちゃんもこの場に呼びたかったなぁ」
「ハァハァハァハァハァ」
「いや、もう勝手に来てたのね」
「女の子率高い所に私の姿在りよ凛子ちゃん♪」
いつの間にか襖から見ていたマルちゃんが、ズイズイと天使さんと妖精さんに近寄る。
怯える2人を余所に、私はマルちゃんに耳打ちした。
「後で相談したい事があるの…」
「解ったわ!」
そう言いながら素早い動きで2人をかっ攫って行くマルちゃん。
えーと…グッドラック!
「で、相談ってもしかして××の事かしら?」
そう言ってソファーにしなだれ掛かるマルちゃん。
どうやら何か心当たりがあるようだ。
「うん、そうなんだけど…××の事、何か知ってる?」
マルちゃんが難しそうな顔をして、そして言った。
「なんだか人間みたいだったのよね、最初は。でも、直ぐに何時もの調子に戻ったの。違和感は拭えないけれど、気配はどう考えても××なの」
…カケルと真逆?
いや、それよりもカケルの身体にカケルじゃないカケルが入っているとか…あ、あの対峙した男性がもしかして。
いや、まさか、翔は死んでしまったのだから身体があるのは可笑しい。
じゃあアレはなんなんだ?
「協力者が居ると思うわ。それにこういう事を好む奴を知っているのよ、私」
「それは…シカク?」
「シカク…?ああ、□□の事ね!あらやだ可愛い渾名ねうふふふ♪まあ、合ってるわよそいつで。カケルから聞いてたのなら話が早いわ。その□□は本当にしょうもない奴でね、裏切り行為なんてしょっちゅうだし、その場を掻き乱しといて平然とその場に止まるし、関わったらいけない奴だと言われているわ」
「どっかの小説でうざやかに笑う黒幕になりたがる男が居たなぁ…それと似たような感じかな…」
「まあ確かに…立てば邪魔座ればうざい歩く姿はゴミの様だもの」
酷い言い草である。
まあ、つまりは人間所か神々にも嫌われてる究極のぼっち神であるという事か。
「しかも男。しかも男なのよ」
「重要なので二回言いましたってやつね」
「そうよ」
男でぼっちでうざい黒幕っぽい神□□……会いたくないな、本当に。
そう思っていると、マルちゃんは真面目な顔をして言った。
「でも凛子ちゃんは気に入られちゃいそうだわね、性的に」
えー…もう濃いキャラに好かれたくないんだけど…