第9話:勝手な神格化は拒否致します
王国が事実上の消滅を迎え、世界は「次の秩序」を求めていた。
世界に映し出されるリリアの日常――
四神を従え、悠然と紅茶を嗜む姿は、皮肉にも絶望した民衆にとっての
「新たな信仰の対象」となってしまったのである。
境界線の向こうには、今や隣国の聖職者や権力者までもが列をなし、
祈祷を捧げ、私を「新世界の女神」と呼び始めていた。
「リリア様、どうか我々に新たな教えを!
あなたこそが真の救世主だ!」
響き渡る賛辞。
しかし、リリアの耳には、
「システムの動作を重くする無駄なトラフィック」にしか聞こえなかった。
「……あら。勝手に神格化し、自分たちの希望を押し付けるだなんて。
実に見苦しい、情報の非対称性ですわね」
彼女はテラスで、青龍(青いの)に
菜園の自動散水を行わせながら、眉を寄せた。
膝の上では、しろたまが押し寄せる「信仰の魔力」を、
鬱陶しそうに尻尾で払いのけている。
「……皆様、勘違いなさらないで。
私はあなた方の祈りを受理する窓口など設けておりませんの。
許可なく他人の平穏を、信仰という名の『スパムメール』で汚すのは、
重過信という名のマナー違反ですわ」
彼女は扇を広げ、虚空に浮かぶ無数の「祈りの光」を、一振りで霧散させた。
◆ ◆ ◆
【世界中の井戸端会議(掲示板)】
1:名無しの司教
……信じられん。我々が捧げた至高の祈りが、
一瞬で「通信エラー」のように消された……!
2:名無しの魔導士
聖女様、今なんて言った?
「許可のない信仰は、精神的なストーカー行為です」……!?
3:名無しの商人
見ろ、境界線に「ファイアウォール」が出現したぞ!
祈れば祈るほど、逆に「不適切なアクセス」として、
祈った本人の頭上に冷水が降ってくる設定になってる……。
4:名無しの賢者
崇拝すら拒絶するとは。
◆ ◆
「……ふぅ。これでようやく、精神的な衛生が保たれましたわ」
リリアの庭は秩序と、四神たちの正しいマナーが維持されている。
……それだけで、彼女の世界は完結しているのである。
「いい、四神の皆様。外の世界が騒がしくなればなるほど、
私たちはより静かに、より美しくあるべきなのです」
四神たちは、主の言葉に安堵したように、それぞれの業務に戻っていった。
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