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冷える夢(1)
「...寒い
いつもはこんなに寒くないはず...」
いつもより冷えた感覚のする状態を初めて感じた。
布団の感覚がない。
瞼が重いが、今は寝ている場合じゃない。
「息が白い
ひどい悪寒もする...
雪が降ってるときに外に締め出されたあの感覚だ…」
ところどころ光る氷河の鍾乳石と透き通った水。
夢にしては鮮明な描写、そして思考がまとまり、感覚も十分にある。
手がかじかんでいて、指先は白くなっている。
服以外なにも来ていない。
何も持っていない。
暗い
寒い
どうせ誰も来やしない。
どこかもわからない場所で朽ち果てる。
でも、誰かに助けてほしい。
耳を澄まして音をよく聞く。
足音のような音が響く。
「人かな
助けてくれるかな」
期待を胸に寄せながら、音のする方向に近づく