虚多夢
ある程度のことが終わり就寝した。
そしたら目の前が真っ暗だった。
でも少しすれば視界外まで拡がる光る球体とそこから輪郭を形成した人形の形状が生まれた。
この感覚は知らない。
ねじれるわけでもなく押し込まれている感覚。ただそこで普通より質量を持つ感覚があるだけ。
夢と言いきれない空虚な器。
喜怒哀楽にも見えた。
余分な感情だって存在した。
顔が増えるような感覚に飲み込まれた。
そして最後は左腕にたどり着く。
ただ一つ感覚でわかったことがあるとすれば、腕は存在せず、そこに意識が乗っている。
そしてあれが異物ではないと言うことしか。
この世界の何かなのだろうか?
魂...魂...?
感情と魂、そして空虚な器...
いや、分からない。
目が覚めたか?
体の感覚が寝起きだな。
依然左腕は無く、ただそこにある感覚はあれど知覚よりは感触という表現になる。
"ただ、この腕はつかめるのか?"
無意識に意識を乗せて掴んでいた。
でも確実にそれは感覚で存在していないのか?
まるで乖離が起こっているように切れているのに
確実にそこにある。そして確信できる。
不明なのに。
そして見た手の甲の目は無い。
そしてそれが現実なのかすら分からない。
"統合失調症"?
なんでもいい。
これは接続されていたんだ。ただ、何かにネジ切られるように消えた部分の可能性があれば、記憶が複数あることの説明にすらなる。
あれ?
少し腕の部分が減ったか?
...いや、気のせいか。
太陽から見て午前11時か。
自然と部屋の位置が分かるのは記憶の無い物心が付く前の記憶なのだろうな。
まるでモノトーンが掛かるような、
セピア調の記憶がぼんやりと、ただ確実に存在する。
人は体に幾つの記憶が入るのだろう?
記憶は脳構造から生まれる記録を投影したもの、
でも記憶は経験しないと構成されない。
じゃあどうして記憶が保持されているのか...
「神にでも直接聞けたら楽だがな」
そんな言葉を呟いて台所に行けば、父は死んでいた




