痛み止め
腕だ。
手は届かない。
そういえばあの幻覚の世界はなんだったのだろうか。
自分の意思に相反したまるで夢遊病に近い何か。
そう説明する他無い無意識領域の記憶が引っ張られてきたのだろうか。
ただどことなく雰囲気は似ている。
父と母の顔は分からない。
この世界に来てから人の顔が思い出せない。
転生の副作用なのだろうか。
絡まって違和感しかない。
でも中身は空っぽだ。
これが普通だったかのように。
電子音による声の聞こえた現象すら意味が分からない。
いや、そもそも転生という事象が発生している時点でおかしいのかもしれない。
ずっと前から異物感がある。
ただの勘違いだろう。
寝れば左手はこちらに手をさしのべる。
どの手も汚れ、悪意しか感じられない。
手を取れば外れる気がする
言葉はおかしいだろうか。
つぎはぎで形どった模倣なのか。
父と母は帰ってこない。
誕生日が昨日だというのに気付かないわけがない。
カレンダーには丸と子供のような絵が書かれている。
きっと自分の誕生日だろう。
動けない。
四肢がまるで適合していないように動かない。
頭が重い。
からっぽなのに。
首が痛い。 頭が痛い。 腹が痛い。
混ざってないように。
掻き回される痛みがずっとあるのになにも感じない。
家族はもう一週間の間帰ってこない。
まるで当たり前かのように。
目が痛い。
爪が痛い。
毛根が痛い。
外形骨が痛い。
痛いものが増えていく。
でも誰も助けない。
いつもそうだったように。
苦しい
助けて




