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「な、成世氏!?気持ちは分かるが忠告を受けた次の日に何の活動もしていないのは不味いのではないか!?」
「だって!だって!!ぼくは何より式部が大事なんだもん!!」
そりゃサスケ氏だって大事だし、サスケ氏と活動出来る部活だって大事だ。
だけどそれよりも、ぼくは一刻も早く家に帰ってデータのバックアップをしなくちゃならないんだ。式部との未来の為にも!!
「う、うぐぐ……拙者も止めたくは無いのでござるが……しかし……」
「頼む!サスケ氏!これはぼくと式部の為でもあるんだ!!」
「む、むむむ……」
大丈夫。明日のことは明日考えればいい。だけど式部とのことは今考えたい。
「お願い!!」
「な、成世氏……」
ぼくはクズだ。その自覚はある。現実世界の友人よりも、画面の中の好きな人を取るのだから。
「ごめん、サスケ氏!明日サスケ氏の推しのイラスト描くかr」
「承知した!!」
「え!?いいの!?」
先程まであんなに悩んでいたのに食い気味に承知されてしまった。所詮、サスケ氏も推しが一番だということか。……いや、サスケ氏を責める資格はぼくにはない。今のぼくも、彼と同じなのだから。
「今日の勧誘は拙者一人でやるから大丈夫でござる!それよりも成世氏は早くバックアップをば!」
「サスケ氏……恩に着る!!」
まあ、今回ばかりはお互いが推しがナンバーワンのクズのおかげで解決したってことで。
「そうと決まれば早速帰宅……」
〜♪
「……ん?」
何の音だろう。ぼくのスマホからだ。そういえばさっきファンクロ、起動してたっけ。でもファンクロ起動した時の音楽って、こんなだったっけ……?
「ふぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁああ!?!?!?!?!?」