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「羨ましい?羨ましいよねえ?……式部、この子を痛めつけちゃって!」
「……承知致しました」
「一般人を殺しちゃダメってルールだったけどさ、痛めつけるくらいならいいもんね」
翼さんの式部がこちらに迫って来る。ああ、どうして式部を連れてこなかったんだろう。今更後悔しても遅い。
「や、やだっ!やめて!助けて!!」
「あははっ!この期に及んで自分が物語のヒロインだと思い込んでるの!?助けなんて来るわけない!というか、大好きな式部に痛めつけられるなら本望じゃない!?まあ、彼は私の言うことしか聞かないけどさあ!!」
「いやっ!いやあーーーーーっ!!!!」
立ち上がろうとしても手の骨が折られていて、痛くて身体に力が入らない。もうだめ……!やられちゃう……!
「……何やってんの?」
ぼくは覚悟を決めて目を閉じたがいつまで経っても痛みは襲って来なかった。恐る恐る目を開けると目の前には……
「す、鈴木さんっ!?……と、エジソン!?」
先程まで酔い潰れていたと思っていた鈴木さんがぼくを守るように立っている。それだけではない。彼女の前にはぼくも知っているファンクロのパートナーキャラ、エジソンがいた。
「な、何で!?」
これはいろんな意味を込めた "何で" だった。
何で酔い潰れてぶっ倒れていた筈の鈴木さんが元気そうに立ち上がっているのかとか、何で鈴木さんがぼくを庇ってくれたのかとか、何で鈴木さんがパートナーを所持しているのかとか、色々。
「酔い潰れたと思ってた?飲む訳無いじゃん、あたし妊娠中なのに」
鈴木さんは「何で元気そうに立ち上がっているのか」という疑問にだけ答えてくれた。というか、まさかのおめでたとは。確かにそれはお酒を飲む訳にはいかない。てか教えといてよ!だったらお祝いしたのに!
「……まさか、私以外にも招待された人がいるとはね」
「あら、アンタだけが特別だと思ったの?残念残念」
鈴木さんは不敵な笑みを浮かべる。式部もエジソンもURのパートナーだ。戦えば同じくらいの強さの筈。
「そこの者、ここは退いた方が身の為じゃぞ」
エジソンも腕を組みながら、同じく不敵な笑みを浮かべる。ちなみにエジソンは女子である。所謂ワシっ娘というやつだ。
容姿は髪がピンクで変な形の眼鏡をかけており、ダボダボの白衣を着ている小学生の可愛らしい女の子に見えるが……年齢を聞くのはタブーらしい。ロリBBAなのかもしれないとファンの間では囁かれている。
「ふふん。おぬしを倒すことなどワシにかかれば赤子の手を捻るようなものじゃからのう」
「……!!わ、私と式部の絆をなめるんじゃない……!!」
「絆?……はっ、レベル1のスキルすら解放出来ていない小童が何を言うておるのじゃ」
……えっ?確か、少納言によればレベル1のスキルは最初から使える筈なんだが。それすら使えないっていうのは……どういうこと?
「簡単な話よ。最初から使えるということは、レベル1のスキルの習得条件は親愛度が0以上だということ……」
「……つまり、式部からのアンタに対する親愛度は0どころかマイナスってところかしらね」




