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「成世ちゃんはきっと、この式部が本物なんて信じられないよね?クオリティの高いコスプレイヤーだと思ってるんでしょう?」
そう言いながら翼さんはぼくから離れ、式部の隣へと立つ。
「だけどね、彼は本物なんだ。ずっと欲しかった、本物の式部……」
翼さんはうっとりとした目で式部を見つめる。
「はあ……今までずっとずっとずっと!!成世ちゃんには辛酸を舐めさせられてきたけど……そんな私に神様が贈り物をくれたんだよ」
そして彼女はスマホをこちらに見せる。そこには確かにリアルファンクロのアプリが存在していた。
「このアプリはね、ファンクロのパートナーをリアルに呼び出すことができるんだ。そしてこれは選ばれた者にしか遊べない。それに私は選ばれた!そして式部を引いたんだよ!!」
彼女は嬉しそうにそう述べ、式部の腕に抱きついた。……ぼくに見せつけるように、ねっとりと。
「……主?」
「このままでいて。命令だよ」
「……承知致しました」
「いい子……あぁ、式部、式部……」
式部に抱きついたまま、翼さんはぼくに渾身のドヤ顔を向ける。いやもうこれはアヘ顔かもしれない。なんかこの人、式部に抱きついて変な感じになっちゃってるぞ……。なんか息も荒いし。
「ふふ……あは……私は成世ちゃんに勝った。だってこれは本物の式部だもの。お前の式部は妄想でしかないけど私の式部はここにいる。私は彼に触れて貰えたし、抱かれもした!お前の妄想と違って、私は式部と結婚出来る!!私が式部の正妻なんだーーーー!!アハハハハハハハハハハ!!!!」
……うん。なんか高笑いしてるところ、本当に申し訳ないんだけど。
正直ぼくも周りに色々言われて調子に乗ってたなあって思うし。自分は働かずに親の金で重課金しまくってたのは事実だし、それで "式部の人" なんて持ち上げられてるのを見たら同じ式部推しとしてはムカつくだろうなあってのも分かるし。
ほんとそれに関してはガキが調子に乗りすぎてすみませんでしたって謝りたいし。
それでようやくぼくに勝てたって悦に入るのは物凄く分かるし、変になっちゃうのも仕方ないんだけどさ……。
ぼくもそのゲームに選ばれた上に、式部引いちゃったんだよなあ……ってことを今この場で言ったらやばいだろうか。




