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「……お喋りはそこまで。お姫様を守る忍者さんにはろそろご退場願おうかな」
サスケ氏が言い終わる前に翼さんはスマホを操作する。その次の瞬間、
「ぐっ!?」
突然左方面から何かがサスケ氏を襲い、そのまま彼は勢いよく右側の壁に叩きつけられた。訳が分からなくなって、足に力が入らなくなって……ぼくはそのまま座り込み……
「……いっ……いやあああああーっ!!!!」
そして、半狂乱になって叫んだ。
何が起こったの!?何でサスケ氏が吹っ飛ばされたの!?サスケ氏は無事なの!?
「うるさいなあ……いくらカラオケとはいえそんなに叫ぶと他のお客様に迷惑だろう?まあ、騒ぎになってもバレないようにカラオケにしたんだけどさ」
サスケ氏がいない今、ぼくを守ってくれる人は誰もいない。無防備になったぼくに、翼さんがどんどん近づいてくる。
「……っ!!」
……逃げなきゃ。理由は分からないけれど、翼さんの狙いはぼくなんだ。
頭がそう理解して、足に命令を出す。今すぐこの場から逃げ出さないと、殺される!
「はいダメー」
「あうっ!!」
しかし、それを許して貰える訳が無い。立ち上がろうとするぼくよりも先に翼さんが反応し、ぼくの左手を踏み付けてくる。
「いやー、成世ちゃんほんと酷いよねえ。お友達であるサスケくんが大変なことになっちゃったのに逃げるんだ?」
「あ……う……」
「自分さえ良ければいいんだ?まあ成世ちゃんって小学生の頃からずーっとそうだったもんねえ?」
「ひっ……!」
ぼくの左手を踏みつけたまま、翼さんがしゃがんでぼくの顔に自分の顔を近づけてくる。あまりにも怖くて顔を背けようとすると……もう一度強く手を踏まれた。
「あっ!!」
「成世ちゃん、ずっとお姫様だったもんね。自分のこと、物語のヒロインか何かだと思ってたんでしょ?」
「そんな、こと……っ!!」
そんなことない、と言おうとすると更に踏みつける足に力を込められた。痛い。骨……折れちゃったかな……。
「自覚ないんだ、やっぱり」
翼さんは冷たい目でぼくを見ると、もう一度スマホを操作する。
「さっき、何でサスケくんが吹っ飛んだのか……教えてあげようか」
……なんとなく、察しはついていた。こんな能力を使えるのは……きっと翼さんもリアルファンクロの参加者だからなのだろうと。
彼女は先程スマホを操作していたから、それでパートナーに指示を出していたのかもしれない。
だけどそのパートナーが姿を現した時、ぼくは驚きのあまり言葉を失った。
「う、うそ……でしょ……?」




