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「うーん……」
「うへえ……もう飲めないよお……」
まだ一時間くらいしか経っていないのにも関わらず、周りの成人組は全員出来上がってしまったみたいだ。
「ええっ!?オフ会早々これじゃ話が出来なくて困るんだが!?」
「しかしこの酔っ払いようを見るに相当強いお酒でも飲んでしまったのでござろう」
「あはは、ご名答。かなり強いの頼んじゃったんだよね。私がお酒大好きだからさ」
唯一、翼さんだけが意識がはっきりしているようだ。彼女は相当アルコールに強いらしく、頬が赤くなる程度で済んでいる。
「今日は推しについて語りに来たのにこれじゃあ何も語れないじゃないかぁ……」
「ごめんね。こんなに人数が集まったのは初めてで、つい飲みたくなっちゃって」
翼さんはかなりの酒好きだがしっかりしている大人で、普段のオフ会の日は皆が酔い潰れることのないようにしっかりと目を光らせている。……それがこの有様だ。相当テンションが上がってしまったのだろうか。
「……成世氏」
サスケ氏がこっそり耳打ちする。
「おかしい……翼氏とはザトコやツブヤイッターでしか話したことは無いでござるが……未成年もいる場でこのような問題を起こすようには思えぬでござるよ……」
「なになに?内緒話かな?私にも教えてよ」
ニコニコと笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる翼さん。そんな彼女からぼくを庇うように、サスケ氏はぼくの前へと立った。
「歩みを止められよ。そして拙者の質問に答えて欲しい」
「あはは、なにそれ?その口調のせいで本当に主を庇う忍者みたいだね、サスケくん」
翼さんは笑いながらもサスケ氏の言う通りに歩みを止めた。そして質問を言ってみなよと言わんばかりに顎を上げ、見下ろす。
「……お主は、本物の翼氏でござるか?」
「質問ってそれ?変なこと聞くね。私は本物の翼だよ?忍者の影武者なんか存在しないさ」
「な、何……?サスケ氏、何聞いてんの……?」
サスケ氏の質問の意図が分からない。ぼくは彼の服の裾をくいくいと引っ張って教えてくれと合図をする。
「目の前の彼女は、拙者が知っている翼氏とはあまりにも違う。直接会ったのは今回が初めて故、ネットでは性格を作っており本来はこのような性格なのかもしれぬが……成世氏はどう感じた?」
「ぼ、ぼくも……いつもの翼さんとはなんか、違う感じがしたけど……」
「うむ、そうでござるか」
「ん?何が言いたいのかな?サスケくん」
翼さんが一歩前に進み出る。それと同時にサスケ氏は背中にいるぼくを壁に押し付けるようにして庇う。
「ならば考えられる説はふたつ。ひとつは、目の前の翼氏が影武者を使っている説。しかしこれは本人が否定した。……まあ、影武者が自ら影武者ですとは名乗らないとは思うでござるが」
「な、ならもうひとつは……?」
「それは……」
「何が目的かは分からぬが、彼女の狙いがこの場全員を酔い潰すことで……」




