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一方、その頃式部は……
「……ふう、美味しいですね……」
押し入れでお茶を啜っていた。
「よ、よし!いざオフ会へ……!」
「やっぱサスケ氏、緊張してる?」
現在、ぼくとサスケ氏はカラオケの指定された部屋の扉の前に立っている。
どうやらサスケ氏は今回が人生初めてのオフ会参加らしい。何回か参加しているぼくとは違い、かなり緊張している様子だった。
「う、うむ……拙者は成世氏以外に友がおらぬ故……」
「別に初めて喋る訳じゃないんだし。ザットコードでいっぱい喋ってるでしょ?」
ちなみにザットコードとは通話等のやりとりが出来るアプリだ。通称ザトコと呼ばれている。
「し、しかしザトコで話すのとリアルで話すのとはまた別物で」
「いやいや、これ以上待たせる訳にはいかないんだが!?ほら、さっさと入る!」
「ああぁぁぁ……!!」
なかなか覚悟が決まらないサスケ氏を押し込むようにして、部屋に突入する。
「成世ちゃんいらっしゃい。そちらは……サスケくんかな?」
ぼくらを出迎えてくれたのはこのグループのリーダーである漆黒の翅さん……もとい、翼さんだった。所謂おっぱいのついたイケメンである。
「は、はい!拙者がサスケでござる!」
「翼さん、久しぶり!相変わらずクオリティの高いコスプレ写真感謝感激なんだが!」
「ふふ、いつも拡散してくれてありがとう」
「は、はわ……!本物の翼氏でござる……!」
翼さんはファンクロ界隈ではかなり有名なコスプレイヤーで、サスケ氏も彼女のファンだった。大丈夫かな。失神しないかな、サスケ氏。
「成世さん、時間ギリギリセーフだな」
「げっ!山田サマじゃないですか!」
「おいコラ、その名はもう捨てたんだからやめろ。というかお前、やっぱり小学生だったよな、あの時」
「う、うぐ……忘れろ。高校生って嘘つかないと入れて貰えないと思ったんです……」
彼は元々山田というハンネでファンクロオフ会に参加していた氷室良さん。……いや、氷室先生というべきか。
彼とは七年前……ぼくがまだ小学生の頃にファンクロオフ会で初めて出会ったのだが、その七年後にまさか自分の学校の先生になるとは思わなかった。担当は中学生なので高校生であるぼくとは学校内で関わることはあまり無いのだが……世界って狭いな。
「久しぶり、成世ちゃん。相変わらず式部推してる?」
「YOU霊さんは久々の参加だね。まあ、ぼくは変わらず式部推しだが?」
「成世ちゃんお久しぶりです。サスケさんは初めまして。いつもイラストにいいねしてくださってありがとうございます!」
「小亜さんもおひさ〜。いつも式部のイラストさんくす、萌え散らかしてるわ」
YOU霊さんと小亜さんも七年前からの付き合いで、ファンクロオフ会の古参メンバーだ。
それ以外にも何人か新顔が参加しているみたいだが……一人、参加すると言っていた人が見当たらないな。
「あのさ、一人足りないよね?」
「あー……まあ、あの人はまた遅刻だろ」
呆れたように溜息をつきながら氷室先生が言う。
「あはは、最早遅刻するのが当たり前だからね」
その言葉に翼さんが笑って答える。確かに初めてのファンクロオフ会の時もあの人は遅刻していた。今となっては懐かしい。




