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「……な、何かどっと疲れたんだが……!?」
説明文にしてはめちゃくちゃ高いテンションだ。こんなの、読んでるだけで疲れる……。
だけどこのテンションだけで誤魔化せない、とんでもない一文があったのをぼくは見逃してはいなかった。
「……これさ、やっぱりプレイヤー以外にも見えちゃってるんだよね?パートナーとか、クエストとか、戦闘とか……」
「ええ、そうですわ」
そうでは無いかと思っていたので式部の服装を目立たないものに着替えさせた訳だが。
「じゃあぼくらが戦闘なんか始めちゃったら、普通に一般人にも見られちゃう訳じゃん」
それどころか、巻き込まれる可能性だってある。あのどう見ても危険極まりない世界に、ぼくたちと違ってパートナーを持たない一般人が。
サスケ氏だって、巻き込まれたじゃないか。内容を何度読み返しても一般人を巻き込んではいけないとか、巻き込まれないように対策をしているとか、そういったことは書かれていないように見える。これはあまりにも酷い。
「そもそも織華さんだってファンクロやってた訳じゃない一般人だったんでしょ?何で巻き込まれてるの?しかも、プレイヤーとして」
「……ごめんなさい。それはわたくしにも分かりませんの……」
「何それ。あまりにも酷すぎるじゃんこの運営」
というかぼくはファンクロをゲーム内で楽しめればそれで良かったんだ。リアルで遊びたいなんて、思ったこともない。
確かに式部が目の前に現れてくれたのは嬉しかったけど……。それでもこんな危険な現実でなんか、遊びたくない。
だったら今この場で式部を手放してリタイアすればいい。そうすればこのゲームの参加資格を失う。……プレイヤーじゃなくなったからって完全に巻き込まれなくなる訳じゃないみたいだけど、それでもプレイヤーでいるよりは意図的に狙われることはなくなる。だけど……
「式部……」
「成世様……?」
……無理だよ。たとえ危険だって分かってても、推しを自分の手で消去するなんて……そんなこと出来る訳が無い。
「あの……成世様」
「……どうしたの?」
「もしかすると織華様は、 "例外" だったのではないでしょうか」
「例外?」
急に式部が話を振ってきたので驚いた。ああ、さっきの織華さんがファンクロやってないのに何で巻き込まれたのか、って話か。
確かに例外もあるとは書かれている……でも何故自分が選ばれたのか、織華さん本人は理解出来ていないようだ。
「まあまあ。織華の話は別に良いだろ?何で例外として選ばれたのかは考えても分からない訳だし」
「少納言もわかんないの?」
「…………僕サマが知るわけないだろ、そんなこと」
「結局、分からないことばかりですけれど。それでも芋煮様とお話が出来て良かったですわ」
ぼくも、このイカレたゲームのことが少しでも把握出来てよかった。理解は出来ないけど。




