3-1
「ねえ、式部」
「何でしょう」
突然ですが、ただいま芋煮家の成世ルームの押し入れからお送りしております。
ぼくらが何故押し入れで話をしているかというと……
「ぼくには弟がいるんだよね」
「はい、そのことは存じております」
ぼくの両親は海外で仕事をしているため、滅多に帰ってこない。だから親フラの可能性はほぼ無いに等しいが……その代わりに弟フラの危険性があるからである。
「弟はプライバシーとかしっかりしてる子だからさ、勝手に部屋には入らないとは思うんだけど。ぼくの部屋から男の人の声が聞こえてきたら、流石の弟でも心配すると思うんだよね」
ぼくは流されるままに今の状況を受け入れている訳だが。正直、訳の分からないことでいっぱいなのだ。
「……要は、リアルファンクロとやらについて、もっと詳しく説明して欲しいんだ」
でも家で会話するのは先程も言った通り弟バレのリスクがある。今のように押し入れで会話しても、式部の声を弟に聞かれてしまったらおしまいだ。だから本当は喫茶店とかでゆっくり話が出来たら良いなとは思っているのだが……
「その格好だよ!」
「……?私の格好が、どうか致しましたか?」
「ぼくは好きだよ!でもね!絶対浮くんだ、その格好で外出したら!」
そもそもぼく自身がゴスロリ的な格好なので、その時点でもかなり浮いているのだ。
それに追加で和服+面布の男性が現れたらどうだろう?
どっかのコスプレ集団か!って、思われる。絶対!!
というか公共の場でのアニメキャラクターのコスプレ行為って結構グレーな行為だし……。
「……ふむ。私は流行に疎いので、現代でどのような服装が流行っているのかは分かりませんが……」
「ぼくも男子のファッションなんて知らないんだよね。でも式部に着せるんだから変な格好させたくないし……」
というかぼくのセンスで選んじゃうと絶対ゴシック系になるんだよね。式部はどんな格好しても似合うとは思うけど、なるべく目立たないような格好をして貰いたい。……その面布のせいで無理かもしれないけど。
「鳴海に聞くのが一番なんだろうけど……」
「……鳴海様?」
「あ、ぼくの弟の名前。うーん……でも、何でそんなこと聞くんだよとか言われたらそれはそれでめんどくさいしなー……」
ああでもないこうでもないとぶつぶつ呟いていると、ぼくのスマホから聞き慣れた通知の音が鳴った。
「もー、何だよ。今忙しいのに……えっ?」
『リアルファンクロ更新のお知らせ!
推しと日常生活を送りたいアナタ!
日常服ガチャ、配信中!』
「……何これ」
先程の通知は、リアルファンクロのアプリからだった。どうやら衣装ガチャの更新があったらしい。というか、タイミングを見計らったような更新内容だな。怖いんだけど。
まあ、こっちにとっても都合が良いか……。
とりあえずログインしてガチャの内容を確認するとしよう。




