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「うーん……」
ぼくの隣に、式部がいる。
正直、まだ夢じゃないかと疑っていたので思い切り自分の頬を抓ってみた。
「いった!」
「成世様…!?」
「あ、ううん。大丈夫」
どうやら夢じゃないみたい。どういう原理かは知らないけど、とにかくこの式部は本物のようだ。ぼくは推しに会えたので事態を前向きに受け止めることにした。
……それにしても、夢じゃないか検証する為とはいえ強く抓りすぎてしまった。ほっぺたがヒリヒリする。
「……痛みますか?」
式部が心配そうにぼくの頬に手を添える。
「だ、だだ、だいじょぶだいじょぶ!」
ただ自分でほっぺたを抓っただけだ。式部に心配してもらうようなことでもないし、第一推しに触れられるなんて興奮して爆発してしまう。……さっき押し入れで色々と触れ合ってた気もするけど!あれは不可抗力!!
「……あれ?」
なんか、痛くない。ちょっとヒリヒリしてた筈なのに、その感覚もない。
「成世様……?」
「あ、なんかよくわかんないけど治っちゃったみたい。だからだいじょぶだよ!」
「……なら良かったです」
まあ別にそんなにめちゃくちゃ痛かった訳でもないし、そんなめちゃくちゃ心配してますって声出されちゃうと大袈裟っていうか……。ぼくに甘過ぎというか……。
すると式部は今度は自分の頬を面布の上からぺたぺた触り始めた。何だその動き。かわいいぞ。
「ん?どした?」
「いえ……何でもありません」
……何でもないならいいけど。かわいいし。
「成世様、成世様」
「……ん?どったの?」
「先程からこの機械が音を出しておりますが……」
式部が指先でツンツンとぼくのスマホをつっつく。何だその仕草。可愛過ぎるんだが??
「あ、スマホのこと?MINEが来てるんだよ」
「まいん?」
「んー……手紙のやり取りみたいなもんだよ」
多分式部に詳しく説明しても、恐らく半分も理解出来ないだろう。理解出来なくても聞いてはくれそうだけど。だからぼくは簡潔に説明した。
ちなみにMINEとはアレだ。誰もが知ってる緑色のアイコンをしたあのアプリのことだ。
「成程……」
現代の物に疎い式部は興味深そうにスマホを眺めている。
でも友達のいないぼくにMINEなんて来る訳……




