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偽物の聖女  作者: ゆきもち
第三章『幕間』
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第85話『独白』

 これは私の独白――

 だから、ただ黙って聞いてくれると嬉しいな。


 私は生まれた時から祝福されたの。その状況を理解できたのは……物心がついた四歳の時だったっけな?

 周りは優しくて、温かくて、みんなみんな私を愛してくれた。

 だから、私もみんなを愛そうって思ったの。

 そうしたらね、もっともっと私のことを愛してくれるようになったの。


 嬉しかったなぁ。


 だから、私は私なりに愛されるよう努力したの。

 でも、人生ってうまくいかないことのほうが多いって言うじゃないっ?

 こんなに祝福された私も同じ。困難はやってきたわ。

 けれど、それも周りがなんとかしてくれた。私が愛した人たちが私のためにってやってくれたの。


 私は、そんな人たちを愛しているのっ。えへへっ。


 ……あぁ、いけない。

 いつも言われるの。もっと言葉づかいはちゃんとしなさいって。


 私、よく口調が変わるって言われてしまうの。

『まるで別人』とか『何人いるんだ』とか言われてしまって……ううん、いいの。これ、実は褒め言葉なのよ。

 その人の理想の『私』になれているからなの。

 私がその人の一番になれている証拠よ。えへへ、嬉しいなぁ。

 でも、うん、あのね、内緒よ。耳をこっちに向けて。


 ……こんなに砕けてしまうのは、私が信頼した人にだけなの……


 うふふ、でもごめんなさい。直しますわね。


 それからも私は愛され続けてきましたの。その愛を返すべく、私も愛しました。

 分け隔てなく。そう教えられてきたからですわ。


 だけどある時。

 その中でも、特別な存在に気づいたんです。


 その人のことを考えると、心が苦しくなったり、温かくなったり、不思議な気持ちになるんです。

 愛はたくさんある、でも、特別な愛は一つだけなのね。私はそう思ったんです。

 そして今まで私の言ってきた『愛してる』は、とても軽いことに気づいてしまった。薄っぺらいものだと。


 愛しているんです。その人のことを。昔も今も。きっとこれからもずっと。

 思い浮かべるだけですぐに……会いたい、声を聞きたい、そう神に願ってしまうほどに。


 でもその人は私の前からいなくなってしまった。ふふ、意地悪なんです。

 よく私をいじめてきたし、私が構おうとすると逃げようとするんです。


 だからこそ……愛おしい。

 最近、そう思えるようになったんです。


 ……うふふ、勘違いしないでくださいね。

 その人が特別なだけで、私は誰であろうと愛しています。ずっと、ずっと愛し続ける自信があります。


 私を愛しているならば。


 ……どうしてこの話をしているか疑問に思いましたか?

 貴方を見て思ったんです。寂しそうだな、って。

 私の愛で貴方の心を埋められたら、そう思ったんです。素敵でしょう?

 でも、それが私の日常でもあるんですよ。


 だって私は『聖女』なのだから。

 いいえ、そんな軽いものじゃない。私は『本物の聖女』なのだから。


 私はまだまだ未熟者です。だから、お役に立てることならお手伝いしたいのです。

 それが私の役割、いいえ、私の本当の気持ちなのです。


 ……だから、ね、力を抜いて。私の前だけでいいから。

 私は貴方の愛に応えるわ。愛しているわ。

 ずっと貴方の心の中心に私はいる。


 ……ううん、体の交わりなんていらないわ。そんなもの、確かめ合うための手段の一つでしかない。

 私は感じている。貴方との深いつながりを……


 愛しているわ。

 貴方を、愛しているわ。


 だからね、私のことをいつまでも愛していてね。


「………………はい」


 もうっ。私の独白なんだから、返事しちゃダメじゃないっ。

 でもそういうところも大好きよ。

 ね。もっと、もっと教えて。私の知らない貴方を。


 もっともっと話しましょう?

 時間が許すまで、ずっと……


「………………」


 え? 特別な人のことが聞きたいの?

 もう、特別よ。このお話をするのは貴方だけ。


 その人はね……私のことをいつも考えてくれて、私のことを愛してくれて、私のことをいつも助けてくれる。そんな物語の中にいるヒーローのような人。

 でも可愛くて、愛おしい。いなくなると寂しい。会いたい。会いたい。会いたくて仕方がない。

 ここ……見て。私のこの胸が、ぎゅーって苦しくなるの。切ないの。全身で愛を叫びたいの。

 でも、意地悪。

 大好き。本当に大好き。


 愛しているわ……

 セリナお姉様……

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