第85話『独白』
これは私の独白――
だから、ただ黙って聞いてくれると嬉しいなっ。
私は産まれた時から祝福されたの。その状況を理解できたのは……物心がついた四歳の時だったっけな?
周りは優しくて、温かくて、みんなみんな私を愛してくれた。
だから、私もみんなを愛そうって思ったの。
そうしたらね、もっともっと私のことを愛してくれるようになったの。
嬉しかったなぁ。
だから、私は私なりに愛されるよう努力したの。
でも、人生ってうまくいかないことのほうが多いって言うじゃないっ?
こんなに祝福された私も同じ。困難はやってきたわ。
けれど、それも周りがなんとかしてくれた。私が愛した人たちが私のためにってやってくれたの。
私は、そんな人たちを愛しているのっ。えへへっ。
……あぁ、いけない。
いつも言われるの。もっと言葉づかいはちゃんとしなさいって。
私、よく口調が変わるって言われてしまうの。
『まるで別人』とか『何人いるんだ』とか言われてしまって……ううん、いいの。これ、実は褒め言葉なのよ。
その人の理想の『私』になれているからなの。
私がその人の一番になれている証拠よ。えへへ、嬉しいなぁ。
でも、うん、あのね、内緒よ。耳をこっちに向けて。
……こんなに砕けてしまうのは、私が信頼した人にだけなの……
うふふ、でもごめんなさい。直しますわね。
それからも私は愛され続けてきましたの。その愛を返すべく、私も愛しました。
分け隔てなく。そう教えられてきたからですわ。
だけどある時。
その中でも、特別な存在に気づいたんです。
その人のことを考えると、心が苦しくなったり、温かくなったり、不思議な気持ちになるんです。
愛はたくさんある、でも、特別な愛は一つだけなのね。私はそう思ったんです。
そして今まで私の言ってきた『愛してる』は、とても軽いことに気づいてしまった。薄っぺらいものだと。
愛しているんです。その人のことを。昔も今も。きっとこれからもずっと。
思い浮かべるだけですぐに……会いたい、声を聞きたい、そう神に願ってしまうほどに。
でもその人は私の前からいなくなってしまった。ふふ、意地悪なんです。
よく私をいじめてきたし、私が構おうとすると逃げようとするんです。
だからこそ……愛おしい。
最近、そう思えるようになったんです。
……うふふ、勘違いしないでくださいね。
その人が特別なだけで、私は誰であろうと愛しています。ずっと、ずっと愛し続ける自信があります。
私を愛しているならば。
……どうしてこの話をしているか疑問に思いましたか?
貴方を見て思ったんです。寂しそうだな、って。
私の愛で貴方の心を埋められたら、そう思ったんです。素敵でしょう?
でも、それが私の日常でもあるんですよ。
だって私は『聖女』なのだから。
いいえ、そんな軽いものじゃない。私は『真の聖女』なのだから。
私はまだまだ未熟者です。だから、お役に立てることならお手伝いしたいのです。
それが私の役割、いいえ、私の本当の気持ちなのです。
……だから、ね、力を抜いて。私の前だけでいいから。
私は貴方の愛に応えるわ。愛しているわ。
ずっと貴方の心の中心に私はいる。
……ううん、体の交じわりなんていらないわ。そんなもの、確かめ合うための手段の一つでしかない。
私は感じている。貴方との深いつながりを……
愛しているわ。
貴方を、愛しているわ。
だからね、私のことをいつまでも愛していてね。
「………………はい」
もうっ。私の独白なんだから、返事しちゃダメじゃないっ。
でもそういうところも大好きよ。
ね。もっと、もっと教えて。私の知らない貴方を。
もっともっと話しましょう?
時間が許すまで、ずっと……
「………………」
え?特別な人のことが聞きたいの?
もう、特別よ。このお話をするのは貴方だけ。
その人はね……私のことをいつも考えてくれて、私のことを愛してくれて、私のことをいつも助けてくれる。そんな物語の中にいるヒーローのような人。
でも可愛くて、愛おしい。いなくなると寂しい。会いたい。会いたい。会いたくて仕方がない。
ここ……見て。私のこの胸が、ぎゅーって苦しくなるの。切ないの。全身で愛を叫びたいの。
でも、意地悪。
大好き。本当に大好き。
愛しているわ……
セリナお姉様……




