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Chapter2-4 囚われのモニカ 13







 ベルはモニカの話を、ただじっと聞いていた。

 舎弟たちは、初めて聞く主人の過去に、ただ絶句することしかできない。

「あんまり辛気臭い顔すんなよ。アタシはもう吹っ切れてるんだからさ」

「……お嬢がそう言うなら」

 舎弟たちはまだ神妙な顔をしていたが、モニカの言葉に従うことに決めたようだ。

「自分が次期当主になる道は選ばなかったのですか? あなたほどの力があれば、一族を皆殺しにすることもできたのでは?」

「発言がいちいち聖女とはかけ離れてるように思えて仕方ないんだけど……。結局アタシは、このデムロムを治められる器じゃなかったってことさ」

 モニカは目を細め嘆息する。

 結局、父親やほかの家族を殺して、それからどうするのか。

 この街は、世界は、何も変わらないのではないか。

 そう思ってしまったのだ。

 父親を生かしておけば、べリガルを殺した件は揉み消されるだろうという打算もあった。

「あとはまあ、そうだな。あいつの言う通りにするのが癪だったんだよ」

「絶対そっちが本音ですよね」

「うるせえ! それだけが理由じゃねーよ」

 これ以上はモニカが本気で怒り始めそうだったので、この辺にしておこうとベルは思った。

「モニカさんが大切なことをお話ししてくださった以上、わたしも事情を説明しないわけにはいきませんね」

 そう言って、ベルはモニカたちに自分たちの事情を話し始める。

 自分が森から出てきて、最初に行きついた村で、亡命中のアレクと出会ったこと。

 その村が『解放軍』に襲われ、ベルがそれを撃退したこと。

 亡命中のアレクの一行にも『解放軍』」が襲い掛かり、辛くもアレクだけは助け出すことができたこと。

 アレクとベルの目的は一致していると考え、ともにランデアを救おうとしていること。

 義勇軍を組織してランデア東部の村を中心に『解放軍』を駆逐し、村の自治権を取り戻していること。

 今回はいよいよランデア東部の大都市であるデムロムの解放のため、やってきたこと。

「アレク様は必ず、このランデアの地から『解放軍』を駆逐します。そのために、わたしも全力でお力添えいたします」

「……なるほどな。お前らのだいたいの事情もわかった。あのへなちょこ王子がそこまで言うなら、アタシも言いたいことを色々と呑み込んでやるさ」

 モニカはそう言って、右手を差し出した。

「友好の証だ。これからよろしく頼んだぜ、聖女様」

「ええ。よろしくお願いしますね、モニカさん」

 ベルもモニカの手を握り返す。

 ここに、ベルたちとモニカたちの協力体制は結ばれた。

「……ところで、名前は何にしましょうか」

 ベルがそんなことを呟く。

「名前ぇ? そんなの何でもいいだろ」

「そんなことはありません。それっぽい名前をちゃんと決めておかないと、後で禍根となるかもしれません」

「禍根の意味わかって言ってんのか、それ……。じゃあ『ランデア連合軍』てのはどうだ?」

 モニカが適当に提案すると、ベルの顔色が変わった。

「いいですねそれ! それにします!」

「王子様の意見は聞かなくていいのかよ……。まあなんでもいいか。じゃあそれに決定で」

 この名前なら、この先ベルが他の地域で仲間を見つけたときも、それほど抵抗なく受け入れられるだろう。

「それじゃあ早速、作戦会議を始めましょうか。アレク様を救い出すために」

「ああ、そうだな。アタシも知恵を振り絞ってやるさ」

 ベルとモニカはそう言って、テーブルに着く。

 長い夜の始まりだった。




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