プロローグ
「君は僕の、4番目のロボットなんだよ」
それはまだR4が生まれてすぐ(造られたばかり)の頃。
その頃は感情があると言っても、まだその使い方や外からの情報に伴う受け止め方や、処理の仕方がよくわからず、今ほど生意気でも厚かましくもなかった。
そんなR4を、泰斗はどこへ行くときも連れて歩いた。
R4だけでなく、時には医療ちゃんや分析ちゃんも伴って行くこともあった。
「おやおや、今日は3人連れてきたの、泰斗ちゃん。あらまあ、それだと座るところがないわねえ」
「どうしようかね、あ、向こうが空いたぞ、ほれ、早く行きなさい」
「はい、ありがとうございます。……ほら、R4医療ちゃん分析ちゃん、君たちもきちんとお礼言わなきゃ」
「あリガト」
他の2人? はかすかに頭を下げる。
「もう、ダメだよそんな気持ちのこもってない言い方と、頭の下げ方じゃ。きちんと覚えて。……ありがとうございました! 元気よくね。それと、お辞儀はこう!」
病院に行けばいつも出会う顔なじみ? のお年寄りたちは、何かと世話を焼いてくれるのだが。
R4や医療ちゃん分析ちゃんに対してけっこう厳しい泰斗に、まわりのお年寄りたちは、おやおやと言う顔で声をかける。
「泰斗ちゃんたら、まあこの子たちに厳しいこと」
「まだ生まれて何日もたっとらんのじゃろ? もうちっと優しく言ってやらにゃあ」
「そうそう」
「あ、えっと、……はい、わかりました」
孫は無条件に可愛いと言うが、うちのロボットはここの皆さんには孫みたいなものなのかな? と、いぶかしがる泰斗だが、そこは素直に言うことを聞くのがまた泰斗の良いところだ。
壊れ始めている世界。
世界をつなぎとめようとするもの。
それは、
やり直しという、前代未聞の企てだった。