10000枚目
…とりわけ苦労したのは文字という認識である。
人間の持つ感情というものを直接伝えるのではなく記すことで訴えるという感覚が捕縛できずに苦労した。
また分子核の浮遊が視覚的に認識を阻害し誠に遺憾であった。
私には文字を理解するための機能が著しく欠如しており同時に人間には不要なものを認める器官が多数所持されている。
しかし文字を学ぶことは私に多大なる鉱石をもたらした。
固い石を持つきっかけになった。
人間を研究するにあたり必要なものは人の身体である。
文字を見ることができる肉体が必要であると知ったのである。
人間には宇宙の常識を蓄える器が備わっていない。
肉体には地球上の常識を検知する機能が備わっている。
ゆえに、私は宇宙に適した体ではない人間の体を用意するべきである。
人間の生態を楽しむものは宇宙に存在している。
地球上で現実という時間を楽しむために体を用意している者がおり弱肉強食という習慣を確かめようとするものがいる。
捕食活動を楽しもうとして誤って捕食対象を間違える事があり誠に遺憾である。
いかにして自らの体を手に入れるべきか。
論点は今そこにある。
文字を学び文章を製作することが可能となった今そこにある。