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お題シリーズ5

下手な刺繍

作者: リィズ・ブランディシュカ







 男っぽいことをすれば、女らしくしろよと文句を言われ、女らしいことをすれば下手だと馬鹿にされる。

 ここは、なんて生きづらい場所なんだろう。








 いたっ。


 針がちくってした。


 と思ったら、指先から血が流れていた。


 はぁ、痛い。


 私は手元を見る。


 白かったハンカチは、度重なる指先の事故により大変なことに。


 まっかなハンカチになってしまっている。


 私、細かい作業が多い刺繍って苦手なのよね。


 女性としてのたしなみだか何だか知らないけど、一般的なそういうのって合わないと思うの。


 茶道とか華道とかも駄目だし、書道とかもてんでダメ。


 女の子らしいこと向いてないのよ。


 思いっきり走りまわって、遊んでいるほうがしっくりくるのにな。


 でも、そんなこと言ったら怒られるだけ。


 うちの両親は、女は女らしくすることが幸せ、とか考えてるんだもの。


 全くいやな両親だわ。


 ちくちくちく。


 いたたっ。


 でも、彼らなりに娘の事を案じてるんでしょうね。


 私のことこれっぽっちも理解してくれないけど、曲がってる愛情の、その質だけは本物。


 たちが悪いわね。


 はぁ、だんだんイライラしてきた。


 何でもいいから早くこれ、完成させられないかしら。


 外国では、男女の立場ってどうなってるのかしら。


 女性も男性と同じように活躍できてるといいわね。


 近頃できた飛行機とかにのって、どこか遠くへ飛んでいきたいわ。


 世界地図でみた世界は広いんだもの。


 きっとどこかに、私みたいな女が不慣れなことをせずに生きていける場所があるはずよ。


 !


 そうだいいこと思いついたわ。


 これをこうして。


 こうしてこう。






 刺繍の先生が私の作品を見て顔を引きつらせている。


「これは一体なんですか?」


「刺繍の作品です」


 私は力業で刺繍したそれを見せる。


 とりあえず鋭利なものを使って糸をぶっ刺せばいいのよ、と結論付けた私はハンカチにぶっ刺さった包丁、その包丁にくくりつけられた糸を見せる。


「やり直し」


 ダメだったか。


 こうなったら気軽に飛行機にのって、外国に飛んでいける時代が来るのをまつしかないのかしら。



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