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習慣からの目覚め


ッ・・・・・!


なにが起きたのか分からなかった。

唐突に他人の記憶が流れてきて、その人間の記憶のすべてではないと分かるのに、それでなお膨大な情報が唐突に頭に流れてきたのが分かった。


「がッ・・・・・うう・・・・あ、、。あああ!」


私はその場で気絶するように眠ってしまった。



目が覚めると、一週間は眠ったのではないかと思ったが、私の服も、髪型も、場所も眠ったときと大して変わらず、窓の外で太陽の位置が少し動いただけだった。


「ああ・・・私は・・・」


我が身が我が身でないような気がした。

鏡を見ると、そこにはきちんと質素な黒いドレスに身を包んだ私―エレゼの姿があった。


鏡を見ながら自分に触れた。腰まであるまっすぐに伸びた黒髪を一束持ち上げて光に透かす。黒ではなく紺色だと分かる。血のように赤い瞳と対照的に唇に血色感はなく、肌が心なしか青白い。


「まつげ長・・・・」


混ざってしまった。そう思った。今まで通り生きていれば、こんな風にまじまじと自分を眺めることはなかっただろう。いきなり倒れたとして、なにか特別なことをしたりはしなかっただろう。


その時、ドアがノックされた。

「エレゼ様、失礼します。」


執事のウィザだった。

「エレゼ様・・・?いかがなされたのですか!?」


彼は私を見るなり慌てた声を出した。その時初めて自分の頬を雫が滑り落ちるのに気が付いた。


「間が悪かったでしょうか?お体の調子が悪いのですか」


珍しく焦っている彼を見ることができた。彼の漆黒の髪と瞳をじっと見た。

「大丈夫。少し外に出るわ。」


彼はすぐに冷静になると、「お供します」と言って一歩引いて邪魔にならないよう壁に近づいた。

涙は一滴流れただけだったが、頭の靄が晴れたようで清々しかった。



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