表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

寿命20年を代償に、下の世話をしてくれる女魔神を召喚!!

作者: しいたけ

「お願い、一つだけ聞いてあげる♡」


 井戸を掘ろうとして、地下から出て来た魔法のランプを擦ったら、女魔神が現れた。


「下の世話をオナシャス!!」


 俺は即答した。これ以外に無いだろう。


「寿命20年貰うぞい?」

「さっそく!」


 腕を組み、ブリッジで地面に頭を着けた。

 さあやってくれと言わんばかりのオーラで待機する。


「頼む!」

「いやいやいやいや」


 女魔神が顔の前で手を振った。

 何言ってんだコイツ。そんな顔だ。


「え? 下の世話は?」

「そんな上品な物は世話できん」


 俺のジュニア氏を上品言いましたよ。

 そりゃあ人並みよりは……ちょっとだけアレだけど。それでも上品と言うには暴れん棒でしてよ?


「20年は?」

「貰った」

「下の世話は?」

「する」

「ジュニアは?」

「上品だから無理」


 ちょっとこの女魔神が何言ってるのか分からない。

 下の世話が出来ないのに寿命はバッチリ取られてるし!!


「うぉぉぉぉ!!!! 20年返せー!!」

「クーリングオフ対象外なので」


 女魔神がランプの中に消えてゆく。虚無だけが残された。

 寿命をぼったくられた俺は、やる気が無くなりベッドに雪崩れ込んだ。そして傍にあった漫画を手に取った。


「あーあ……」


 漫画を読む。


「ハハ……」


 読み終えて、続きを探す。


「下巻、下巻……何処やったっけ」


 本棚を見るも、下巻が無い。


「テーブルの下」

「おう?」


 ランプから女魔神の声がした。


「あ、あった」


 女魔神の言う通り、テーブルの下に下巻が落ちていた。


「よく知ってたな」

「下の世話ですから」


 ……(しも)


 本の背を見る。()巻。


「上巻いつ買ったっけ?」

「さあ」

「下巻いつ買ったっけ?」

「一週間前の午後二時五分。近くの本屋で」


 …………なんとなく分かった気がする。


「ウチから一番近い()川さん家は?」

「南東へ三キロ先」

「一番近い上島さん家は?」

「しらんぷぅ」

「ウチの地()から温泉出るか!?」

「出ない!」


 本来の目的が閉ざされた。が、今は女魔神だ!

 頭を使え! 頭を使え俺……!!


 ──!!


「俺の()世話なブツの世話を頼む!!」


 さあどうだ!?

 これならいけるだろ!


「とても御上品だと思います」


 普通に否定された。


「大きさ的にはどうだ! ()の中くらいだろう!?」

「自分で言ってて切なくならんか?」

「──っさいわ!!」


 しかし流石にこれなら躱せまい……!

 さあ、お世話をしろォォ!!


「私が扱う下世界で比較すると、貴様のは上の中だ。おめでとう」

「嬉しくないわボケェェェェ!!!!」


 ベッドにダイブし、思い切り枕を叩いた。

 切なすぎて泣いた。


「待てよ……」


 涙を一粒流したところで閃いた。


「世界一可愛い下川さん……もしくは下関か……山下……さんと結婚したい」

「お心のままに?」


 ──ピンポーン


「突然ですが結婚して下さいまし!!」


 イカれた女が現れたのかと少し恐くなったが、俺は世界一可愛い山下さんと結婚することが出来た。


「……可愛い……のか?」

「お望みの世界一可愛い山下さんだが?」


 予想を少し下回る顔の女子が現れたが、この際好き好みを通している余裕も無い……。

 次は……金だな。



「今日、一番値が下がる株は何処だ?」

「ポンコツ(株)」

「よっしゃ!」


 値が上がる株が分からないのが難点だったが、信用取引なら先に売る事が出来るので、値下がり後に買い戻せば利益は出せた。

 ちょいとセコいが、これが一番楽だった。



「魔神さん。今日野菜の値段が一番下なお店は何処?」

「ヤケクソ」

「行ってきます!」


 妻も、女魔神を有効的に活用している。魔神様々だ。




 が、下ばかり気にしていた弊害が出た。


「……なんか、パンがカビてないか?」

「安かったから」


「直したばかりなのに車が動かないんだけど……」

「安いところに頼んだから……かな?」


 動かなくなった車に別れを告げ、折角お金があるのだからと高い車を買うことにした。


「魔神、一番下の値段の良い車を」

「懐かしのクラシックカー。車検切れで25万」

「違う、そうじゃない。普通の車で良いんだ」

「2000ccの中古車。事故歴有り、車検切れ、125万」

「違う違う。新車で」

「新車で一番下の値段?」

「そうそう」

「向かいのディーラー。嫁を抱かせれば25万値引きしてくれる」

「違ぁぁぁぁう!!!!」

「蹴るなし」


 魔神のランプを蹴りつけた。

 いくら何でも安さに身を任せ妻を売るつもりは無い!

 下ばかり見せ続ける魔神のやり方に、俺は次第に我慢が出来なくなっていた。


「魔神!!」

「なんじゃい」

()の世話も頼む……!」

「寿命9年くれ」

「おう! くれてやる!」



 何故これに気が付かなかったのか。

 これならすぐに大金持ちの贅沢三昧だ!!


「さっそく一番値が上がる株を──ウッ!」


 意識が……急に…………!!


「ウッ……ァガ……ガ……!」


「安い肉に安い魚。安い油に安い水。そりゃあ質の悪い物を食べ続ければ、寿命なんかあっという間だよね、ね?」


「ウ……ァ…………ァ……」


「たった9年で力を授けたんだから、感謝してよね? ね? ホントは30年は欲しかったんだけどさ♪」


「……………………」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最初は下ネタ回かと思えば、途中で知恵比べになって、最終的にまさかのオチ。 おおお…しいたけ様お見事です。
[一言] 主「冷たい土の下に葬られたのでお世話おなしゃす」 魔「ああああああ!orz」 とかそんな感じになると思ったらあっさり成仏 まあ地獄行きだとお世話しなきゃいけないし、天に上ったんでしょうなあ…
[良い点] 下の世話が、まさかこんなにも教訓に満ちたお話になるとは。 面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ