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まずは落ち着いてゴミ拾いから

 朝は、優しい陽の光や鳥のさえずりで穏やかに目覚めたいと、誰しもがそう思うものだ。

 目を覚ました後は、その穏やかな気持ちを崩さないようにゆっくり起き上がって大きく伸びをしてから、窓のカーテンを開けて「今日もいい天気だな」とか呟き、今日の予定を頭の中で考えるのも悪くない。

 

 それなのに……。


 「うるさあああああい!!」


 テレビの音や教室で聞こえる話し声とは比にならないほどの騒がしい音に耐えきれず、大声を上げながら目を覚まして起き上がる。朝からこんな騒音で起こされるなんて迷惑以外の何者でもない。


 外で大きな祭りでも開いてて、その音のせいだったりするのか?あるいはこの部屋の中でパーティーでも始まったのか?と考え、状況を確認しようと辺りを見渡す。


 すると、目の前には見たことのない景色が広がっていて、異世界を題材とした物語によく出てくるような服を着て歩く人々や、明らかに日本では見られない建築物がそこらじゅうに建っていたり、路面店までもがちらほら展開されていた。

 その景色に呆然とし、情けなく口をぽかーんと開けつつも、自分はまだ夢の中にいるのだろうと結論づけることに成功する。

 とりあえず、試しに頬を思いっきりつねってみることにした。


 「痛っ」


 ……え?

 どうしよう、普通に痛い。

 思いっきりつねったせいか、まだ頬はヒリヒリしている。

 夢じゃ、ない……?

 にわかには信じがたい結論が降ってきて、一瞬思考が停止する。

 しばらくして安易に確かめたことを少し後悔する。まだ夢だと思っていたかったし、なんなら理想の朝を迎えるための二度寝もしたかった。

 もしかして異世界転生?なんて馬鹿な可能性を考えるが、小説やアニメじゃないんだからとすぐに振り払う。どこかのテーマパークに来て、うっかり寝てしまっていただけなのかもしれない。いや、そうに違いない。


 ……テーマパークだよな?

 不安になりもう一度辺りを見渡す。見れば見るほどとてもテーマパークとは思えない完成度とリアリティな気がしてくるが、これ以上考えると混乱しそうだったので考えることを放棄した。


 そういえば、大声を出して起き上がってから散々挙動不審な動きをしていたせいか、人々が横目で僕を怪訝そうに見つめてきている。

 あと、起きてすぐだったから気づかなかったけど、真横の大きな噴水が水を飛び散らせていて少し冷たいし、地面に背中をつけて寝ていたせいか背中が痛い。


 と、そこまで実況して、今更ながらに気づいたことが一つ。

 ……どうやら、僕はこんなところで寝ていたらしい。


 なんで?と素朴な疑問を抱くが、少し前の記憶が全くなく、思い出そうと試み記憶を辿ろうとするが、どうにも思い出せそうにないので、テーマパークの件と同様に考えることを諦める。


 ふと、視線の先にゴミ箱とポイ捨てに失敗したゴミが転がっていることに気づく。

 僕も部屋のゴミ箱に時々ポイ捨てを挑んでみるけど、そのゴミが認められた数は少なく、いつも椅子から立ち上がっては、転がったゴミを改めてゴミ箱に入れるハメになっている。


 そんな命中率の低いポイ捨てを公共の場でしてはいけないし、ゴミ箱に入らなかったゴミをそのまま放置するなんてもっての外だ。

 少しの憤りを覚えたが、ポイ捨てした人も急いでやむおえずそうしたのかもしれないと思い直し、とりあえずゴミ箱の隣で転がっているゴミを拾うことにした。

 ゴミを拾い終わってから色々考えていこう。


 こうして僕、アユムの朝は、呑気に起き上がってから伸びをする間もなければ、今日の天気を確認することもなく始まった。

お読みいただき、ありがとうございます。

これからゆっくり執筆して、濃厚な物語にしていこうと思うので、よければブックマークや高評価、レビューや感想をお願いします!とても励みになります。

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